恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

どうやら、この集落の中学生たちが新しく越して来た人を見ようと、野次馬のように押し掛けて来たらしい。


気付かれないように盗み見ると、みんな日に灼けた肌で。


Tシャツにハーフパンツ、足元はビーチサンダルで。


涼しげで似たり寄ったりの格好をしていた。


「ハイサイ! 須藤さあん! おりますかあー」


うわ……。


なんか、ものすごーく出て行きにくいんだけど。


なんでそんな大人数で押し掛けて来るのよ。


都会人はそんなに珍しいのかな。


「出てこんー」


「留守かねー」


そうだそうだ。


留守だ。


出て行かなきゃ、そのうち諦めて帰って行くだろう。


そう願いつつ身を潜めていると、


「おまえらあ、何やっとるう」


その声にハッとした。


すぐに分かった。


海斗だ。


おそらく、海斗は今、変声期を迎えているんじゃないかと思う。


昨日も話していると、苦しそうに喉の当たりを抑えたり、しきりに咳払いをしていたから。


何より、甲高い声と低い声がちくはぐに混合していて、独特な声だったから。


戸の陰から様子を見てみると、やっぱり海斗だった。


中学生の野次馬隊を掻き分けて、不機嫌顔の海斗が片手に箱を持って、玄関に入ってきた。


「おまえら、帰りなっさー」


と背後に集るみんなを、海斗が手の甲でシッシと追い払う。


「ハイサイ! 陽妃、おるかね」


やっぱり、ドキドキした。