恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

「テビチよ」


「テビチ……」


「豚の足さあっ!」


「あっ、足いーっ?」


予想はしていたけど。


予想以上の衝撃に、あたしは後ろにのけぞった。


「そうさ」


海斗は別の皿を持ち、ずいっとあたしの顔の前に突き出した。


「これは?」


引きつるあたしに、容赦なく皿を突き出してくる。


「これはミミガーよ。豚の……耳さあーっ!」


突然大きな声を出した海斗の顔が、陽炎のように揺れて見えた。


「……耳」


さすがに、くらくらした。


ダメだ。


豚の足、耳。


豚の足……耳……。


足……耳……足……耳……。


「陽妃?」


ああ、体が火照る。


くらくらする。


熱い。


熱すぎる。


豚の足と耳が、あたしに迫ってくる。


「陽妃、陽妃?」


ごめん、海斗。


あたし、体が熱くて、だるくて。


豚の足と耳が……。


体から、力が抜けていく。


「陽妃!」


海斗の声を聞きながら、あたしは後ろに背中から墜ちていった。


ダメだ。


目の奥がぐるぐる回る。


豚の足だなんて、耳だなんて。


あたし……食べれない……。