恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

――陽妃


――……ん……うん


――島で、たくさんのカフーが待っとる。帰ぇろう


うん。


うなずいたあたしの額にそっとキスを落として、海斗は言った。


――必ず幸せにします。でーじでーじ幸せにします。だから、陽妃


3年前の冬。


ふわふわの雪が舞っていた。


――おれの嫁さんになってくれんかね











風が吹く。


やわらかな優しい風だ。


6月の昼下がり。


抜けるような青空。


あたしは潮風に吹かれながらスマホを胸に抱きしめ、海の先を眺めた。


スマホに揺れる、ストラップ。


あたしたちの恋は決して眩しくひかり輝くようなものではなかったけれど。


この石のように。


蛍のように。


弱くて、淡くて。


あたしたちの恋蛍の灯は、何度も消えそうになった。


ずいぶんと遠回りした。


でも、これからは違う。


もう、恋蛍の光は消えることはない。


弱くても、淡くても。


優しい色の光を静かに灯し続けて行くの。


だから、大丈夫だよ。


「早く、生まれておいで」


と、そっとお腹に触れた時。


ぽこっ。


まるで返事をするように、赤ちゃんがお腹を蹴っ飛ばしてきた。


「蹴った!」


いてて、と笑いながらその部分をなでる。