――ずるいさ、陽妃。一緒に見ようって約束したのに。先にひとりで来てさ
そう言ってくすぐったそうに笑った彼は、夜空を見上げ、ちょっぴり寂しそうな顔をした。
――おれ、でーじきれいな街で生まれたんか
ふわりふわりと雪が舞う夜だった。
――でーじきれいなとこさ、この街は。だけど、おれには少し寒すぎるさ。だから、陽妃……
低くて優しい声。
やわらかく静かな話し方。
あの頃のまま、何も変わっていなかった。
――そろそろ、帰らんかね
夢を見ているのか。
あたしは彼の前に呆然と突っ立って、やっとの思いで声を出した。
――何で、ここにいるの
彼は困ったようにはにかんで、ダウンジャケットのポケットからそれを取り出した。
――10年以上も待たせてしまったね。ごめんね、陽妃
彼はそれをそっと差し出して、微笑んだ。
――迎えに来ました
彼の手の中でぽうっと淡く灯ったのは、透明で青い光。
あたしは目を疑った。
――嘘……なんで、これ……
――見つけたよ
――……
――隠し場所はすぐに分かったさ
微笑む彼が持っていたのは、18歳の春にあたしがあのガジュマルの木の根元に埋めたストラップだった。
――嘘でしょ……本当にっ……?
想いが一気に溢れて、止まらなくなった。
そう言ってくすぐったそうに笑った彼は、夜空を見上げ、ちょっぴり寂しそうな顔をした。
――おれ、でーじきれいな街で生まれたんか
ふわりふわりと雪が舞う夜だった。
――でーじきれいなとこさ、この街は。だけど、おれには少し寒すぎるさ。だから、陽妃……
低くて優しい声。
やわらかく静かな話し方。
あの頃のまま、何も変わっていなかった。
――そろそろ、帰らんかね
夢を見ているのか。
あたしは彼の前に呆然と突っ立って、やっとの思いで声を出した。
――何で、ここにいるの
彼は困ったようにはにかんで、ダウンジャケットのポケットからそれを取り出した。
――10年以上も待たせてしまったね。ごめんね、陽妃
彼はそれをそっと差し出して、微笑んだ。
――迎えに来ました
彼の手の中でぽうっと淡く灯ったのは、透明で青い光。
あたしは目を疑った。
――嘘……なんで、これ……
――見つけたよ
――……
――隠し場所はすぐに分かったさ
微笑む彼が持っていたのは、18歳の春にあたしがあのガジュマルの木の根元に埋めたストラップだった。
――嘘でしょ……本当にっ……?
想いが一気に溢れて、止まらなくなった。



