恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

あたし、一体、何しようとしてた?


海斗はまだ中学生なのに。


年下なのに。


心臓が尋常ではないほどに、凄まじい音を立てる。


渡嘉敷のおじさんが足をぶつけていなかったら、あたし……。


海斗に……。


あたしはまだ大我と別れたばかりなのに。


でも……海斗の目があたしを吸い込もうとした。


海斗をちらりと見ると、何事もなかったかのように立ち上がり、テーブルへ向かった。


チャッカチャッカ、チャッカチャッカ。


再び、大人たちの陽気な宴が再開された。


「陽妃! 食べよう」


テーブルの前に座った海斗が、あたしを呼んでいる。


「あたしはいいかな……食欲なく」


「だめさあ!」


バンッと海斗がテーブルを叩いた。


「陽妃いは食べないとだめさあ! そんなに細いくせにさあ」


海斗って、不思議な男の子だと思う。


「陽妃! 食べるよー」


こうやって、無邪気な子供みたいな顔をしたり。


さっきみたいに大人びた色気のある目をして、人を惹きつけて離さなかったり。


「じゃあ、少し食べようかな」


テーブルへ行くと、海斗が嬉しそうに笑った。


「まずはこれさ! これ、食べてみてー」


「うん」


なんだろう、これ。


美味しそう。


キュウリみたいな物と豆腐と卵が炒られた物を箸でつまみ、口へ入れた。


不快感が一気に口内に広がった。


「あっ……苦あーっ!」


舌がジリジリする。


なにこれ。


海斗がイタズラ小僧みたいにニタリと笑った。