恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

あの日以来、夕餉が終わる頃になっても現れなくなったから。


もしかしたらもう生きていないのかも、なんて思っていただけに、この突然の再会は嬉しかった。


「何でこんなとこにいるの? ちゃんとご飯食べてるの?」


うりうり、とちょっかいを出していると、ルリはあたしの腕を飛び出してガジュマルの木の方へ走って行く。


「どこ行くの?」


すると、ルリは数メートル行ったところで立ち止まり、振り向いた。


「ニャッ」


こっちよ、と誘うようにルリが長いしっぽをうねらせる。


「待って」


追いかけて行くと、ガジュマルの木のさらに奥の茂みにルリは飛び込んで行った。


あとを追いかけてそれを見付けたあたしは、笑った。


にぃー、にぃー、にぃー、にぃー。


茂みの片隅に、まだ生まれて間もない手のひらサイズの子ネコが4匹。


もそもそと互いをつぶし合いながら、可愛らしい声で鳴いていた。


「かっ、かわいいいいー。何、ルリ、この子たちお前が産んだの?」


まるで、うん、そうよ、とでも言うかのようにルリが得意げに鳴いた。


「ニャアー」


「そっかそっか。おめでとう。頑張ったね」


あたしはルリに手を伸ばし、頭をぐりぐり撫でた。


「でかしたぞ、ルリ」


ルリは満足そうにゴロゴロと喉を鳴らして、ニャオと甘えるようにあたしの手に頬ずりをした。


あ、と思う。


おばあのウシラシはこのことだったんじゃないか、って。


だとすれば、またまた大当たりだ。


「そっかあ。お母さんになったんだねー、ルリ」


まだ目も開いていないよちよち歩きの4匹に心なごんでいたあたしの背後で泣き声がして振り向くと、


「ニャー」


もう1匹、今度は見知らぬネコがいて思わず見惚れてしまった。


きれー。


つん、と高い鼻に、しなやかな曲線の体はルリより一回り大きい。


つやつやと光沢のある黒ネコ。


翡翠色の瞳が印象的だった。


「もしかして、ルリの旦那さん?」


これは、かなりのイケメンだった。