静かに訪れた沈黙に、胸が締め付けられる。
沈黙を打ち消すかのように、海斗が低い声で呟くように言った。
「あのメッセージのことなんですけど」
「え?」
「いや、思い出したわけじゃないですけど。なんとなく、分かった気がして」
「分かった?」
もしかして、約束のひとかけらに気付いたのかも、なんて小さな期待に大きく胸を膨らませていると、
「あのメッセージはもしかしたら――」
と海斗が言いかけた時、ピリリリ、と音が鳴った。
「あ、すみません。電話」
スッと立ち上がった海斗が急いでズボンのポケットから取り出したのは、パールブラックの携帯電話だった。
あ……。
反射的に苦笑いになってしまう。
そうだよね。
もう、高校生なんだもん。
携帯くらい持ってて当たり前か。
「もしもし」
あたしに背を向けて話す海斗から、たまらず顔を反らした。
本当にもう。
あたしが知っている海斗はどこにも居ない気がする。
「ああ、うん。そっちの用事はもう済んだの?」
誰と話しているんだろう。
その黒い携帯には、何人の連絡先が登録されているんだろう。
「うん。じゃあ、一緒に行こう。分かった」
でも、あたしの連絡先は登録されていない。
そしてきっと、これから先も登録されることは、ない。
あたしはショートパンツのポケットからはみ出していた携帯をぐいっと奥に押し込んだ。
「ごめんなさい。話しの途中だったのに」
話し終えた海斗を見上げて、あたしは微笑みながら首を振り、
「そろそろ帰ろうかな」
ありがとうこれ、とお土産の紙袋を掴んで立ち上がった。
「じゃあ、途中まで一緒に行きましょう。おれ、これから中学校に行くんです」
「中学校?」
「はい。久しぶりに担任だった先生に挨拶に行こうと思って。お世話になったので」
そう言って、海斗は携帯電話を見せてはにかんだ。
「葵と一緒に行く約束していて」
どうやら、今の電話は葵ちゃんからだったらしい。
沈黙を打ち消すかのように、海斗が低い声で呟くように言った。
「あのメッセージのことなんですけど」
「え?」
「いや、思い出したわけじゃないですけど。なんとなく、分かった気がして」
「分かった?」
もしかして、約束のひとかけらに気付いたのかも、なんて小さな期待に大きく胸を膨らませていると、
「あのメッセージはもしかしたら――」
と海斗が言いかけた時、ピリリリ、と音が鳴った。
「あ、すみません。電話」
スッと立ち上がった海斗が急いでズボンのポケットから取り出したのは、パールブラックの携帯電話だった。
あ……。
反射的に苦笑いになってしまう。
そうだよね。
もう、高校生なんだもん。
携帯くらい持ってて当たり前か。
「もしもし」
あたしに背を向けて話す海斗から、たまらず顔を反らした。
本当にもう。
あたしが知っている海斗はどこにも居ない気がする。
「ああ、うん。そっちの用事はもう済んだの?」
誰と話しているんだろう。
その黒い携帯には、何人の連絡先が登録されているんだろう。
「うん。じゃあ、一緒に行こう。分かった」
でも、あたしの連絡先は登録されていない。
そしてきっと、これから先も登録されることは、ない。
あたしはショートパンツのポケットからはみ出していた携帯をぐいっと奥に押し込んだ。
「ごめんなさい。話しの途中だったのに」
話し終えた海斗を見上げて、あたしは微笑みながら首を振り、
「そろそろ帰ろうかな」
ありがとうこれ、とお土産の紙袋を掴んで立ち上がった。
「じゃあ、途中まで一緒に行きましょう。おれ、これから中学校に行くんです」
「中学校?」
「はい。久しぶりに担任だった先生に挨拶に行こうと思って。お世話になったので」
そう言って、海斗は携帯電話を見せてはにかんだ。
「葵と一緒に行く約束していて」
どうやら、今の電話は葵ちゃんからだったらしい。



