ドキドキしながら横顔を見つめていると、ふいに海斗と目が合った。
「陽妃さん?」
不思議そうな顔であたしを見てきた海斗からあからさまに目を反らしてしまった。
「あっ……そうだよね」
年下の男の子に色気を感じて理性が崩れそうになった自分に呆てしまう。
「頑張らないとね」
あたしは動揺を悟られないように平然を装って笑った。
「海斗、お医者さん目指してるんだもんね」
ふと口を突いて出たあたしの一言に、海斗が「えっ」と驚いたように声を漏らした。
「どうしてそのこと知ってるんですか?」
「へ? だって」
と言いかけて、あ、と言葉を飲み込んだ。
海斗の口から直接聞いたわけじゃない。
それに、海斗は記憶が抜け落ちているんだった。
「ああ、ええとね」
混乱させてしまわないようにどう説明しようかと心の中で頭を抱えたあたしの横で、海斗は「ああ」と小さく吹き出した。
「もしかして、おれ言ってましたか、そんなこと」
「いや、あのね――」
「いいんです。そんな気使わないでください。大丈夫です」
逆に覚えてなくてすみません、とけろっとして笑った海斗に確かな距離を感じてしまった。
「もう、過去のことだから」
過去、か。
なんだか、突き離された気がする。
膝を抱きしめて苦笑いしたあたしに、海斗は「そういえば」と話を振ってきた。
「見ましたか?」
「何を?」
首を傾げたあたしに、くすぐったそうにはにかんだ海斗は、目の前の白浜に視線を向けた。
「ほら、あの日。陽妃さんに渡した紙ですよ。ポエマー海斗の」
ドキ、とした。
「あ……ああ。あれね」
「見ました?」
打ち寄せる波音が浜を包み込む。
少しずつ、太陽が傾き始めていた。
「見たよ」
ぽつりと答えると、海斗は肩を小刻みに震わせて可笑しそうに笑い出した。
「恥ずかしい内容だってでしょう、あれ。あれを書いたおれって、何を考えていたんでしょうね。しかも、書き掛けっていう、ね」
どう答えればいいのか分からなくて、あたしは膝を抱き締めたまま小さく首を振った。
「陽妃さん?」
不思議そうな顔であたしを見てきた海斗からあからさまに目を反らしてしまった。
「あっ……そうだよね」
年下の男の子に色気を感じて理性が崩れそうになった自分に呆てしまう。
「頑張らないとね」
あたしは動揺を悟られないように平然を装って笑った。
「海斗、お医者さん目指してるんだもんね」
ふと口を突いて出たあたしの一言に、海斗が「えっ」と驚いたように声を漏らした。
「どうしてそのこと知ってるんですか?」
「へ? だって」
と言いかけて、あ、と言葉を飲み込んだ。
海斗の口から直接聞いたわけじゃない。
それに、海斗は記憶が抜け落ちているんだった。
「ああ、ええとね」
混乱させてしまわないようにどう説明しようかと心の中で頭を抱えたあたしの横で、海斗は「ああ」と小さく吹き出した。
「もしかして、おれ言ってましたか、そんなこと」
「いや、あのね――」
「いいんです。そんな気使わないでください。大丈夫です」
逆に覚えてなくてすみません、とけろっとして笑った海斗に確かな距離を感じてしまった。
「もう、過去のことだから」
過去、か。
なんだか、突き離された気がする。
膝を抱きしめて苦笑いしたあたしに、海斗は「そういえば」と話を振ってきた。
「見ましたか?」
「何を?」
首を傾げたあたしに、くすぐったそうにはにかんだ海斗は、目の前の白浜に視線を向けた。
「ほら、あの日。陽妃さんに渡した紙ですよ。ポエマー海斗の」
ドキ、とした。
「あ……ああ。あれね」
「見ました?」
打ち寄せる波音が浜を包み込む。
少しずつ、太陽が傾き始めていた。
「見たよ」
ぽつりと答えると、海斗は肩を小刻みに震わせて可笑しそうに笑い出した。
「恥ずかしい内容だってでしょう、あれ。あれを書いたおれって、何を考えていたんでしょうね。しかも、書き掛けっていう、ね」
どう答えればいいのか分からなくて、あたしは膝を抱き締めたまま小さく首を振った。



