恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

「お久しぶりです。元気でしたか?」


少年のあどけなさが残っていたはずの切れ長の目元は、ひっそりとした色気を含んで。


「4ヶ月ぶりですよね」


ミステリアスな瞳は、背中がぞくっとするほど艶めかしくて。


少し緩めたネクタイの襟元から見え隠れする色白の肌。


男の色気が漂っているのに、イヤラシサはなくて。


まるで、神聖かつ厳粛なオーラを海斗は放っていた。


触れてみたい、と思った。


情欲のような激しい衝動にかられ、ごくりと唾を飲む。


「陽妃さん?」


ハッと我に返り、あたしは気付く。


会いたかった。


本当はこの人に会いたくてたまらなかったことに、気付いた。


「海斗」


表現できないほどの愛しさが、胸を高鳴らせた。


「お帰りなさい」


あたしが微笑むと、海斗はまるで知らない人みたいにきれいに笑った。


「ただいま」


陽射しを受けて微笑む海斗は、次第に透けて、今にもすうーっと消えてしまいそうに儚い美しさを持って帰って来た。


悲しくなるほど、海斗は大人びてしまっていた。









「那覇での生活はどう? もう馴れた?」


ガジュマルの木陰に並んで座りながら聞くと、


「寮に入ったんだよね、確か」


海斗は目の前に広がる煌めく海に目を細めながら頷いた。


「だいぶ馴れてきました。友達もできましたよ」


陽射しを跳ね返す水面は砂金をばらまいたように、セピアがかった金色に輝いている。


「規則とかは面倒ですけど、楽しくやっています。充実してますよ、毎日」


「そっか」


「でもね、問題がひとつ」


と苦笑いして、海斗が人差し指を立てる。


「授業が難しくて。ついて行くのが精一杯です。テストばっかだし。みんな頭良くて」


「そうだろうねー。A高だもんね」


「はい。でも、自分が選んで決めた道だから。せめて留年だけはしないように頑張ります」


海斗は困ったように笑って首をすくめた。


その横顔にドキとしてしまう。


たった4ヶ月そこそこで、ここまで大人びてしまうものなんだろうか。


男の子って、こんなふうに急に男の人になってしまうものなんだろうか。