あたしは結構、神経図太いのかもしれない。
海斗のいない毎日に馴れてしまったのだから。
以前は毎日一緒にいるのが当たり前になっていたのに。
今はいないことが当たり前になっている。
生きていればお腹が空くし、夜が来れば眠くなる。
それと同じ。
海斗がいないことに馴れてしまったのだ。
でも、これでいいのかもしれない。
これが普通になって、いつか本当に忘れられたら。
ううん。
忘れるのではなく、想い出にできたら。
それでいい。
ザアッ、と波音が大きくなって、その音の向こうから声がした。
「……さーん!」
その声にはっとして目を開く。
「陽妃さーん!」
「……えっ」
まさか、と跳ね起きると、向こうから誰かが砂浜を走って来る姿が視界に飛び込んで来た。
真っ白な半袖のワイシャツに、グレーのズボン。
臙脂色のネクタイ。
真っ黒な髪の毛。
真っ黒な……瞳。
「陽妃さん」
息を弾ませながら駆け寄って来たその笑顔の眩しさに、
「……海斗」
あたしはやっぱり目を細めた。
「今、那覇から帰って来たんです。それで、陽妃さんにお土産持って行ったら居なくて」
ほら、と海斗が紙袋を掲げて笑う。
「そしたら、近所の人が浜の方へ行く陽妃さんを見たって言うから」
一瞬、雷に打たれて感電したのかと思った。
「何買えばいいのか分からなくて。悩んだ末に結局これ。紅芋タルト」
ずいっと差し出された紙袋を受け取りながら、あたしは固まってしまった。
4ヶ月振りに会った海斗は目のやり場に困るほど、見違えていた。
A高の校章が左胸ポケットに刺繍された半袖のワイシャツから伸びるたくましくなった腕。
広くなった肩幅。
明らかにぐーんと伸びた背。
イケメン、なんてそんな特売セールみたいに安っぽい言葉では表現しがたくて。
海斗のいない毎日に馴れてしまったのだから。
以前は毎日一緒にいるのが当たり前になっていたのに。
今はいないことが当たり前になっている。
生きていればお腹が空くし、夜が来れば眠くなる。
それと同じ。
海斗がいないことに馴れてしまったのだ。
でも、これでいいのかもしれない。
これが普通になって、いつか本当に忘れられたら。
ううん。
忘れるのではなく、想い出にできたら。
それでいい。
ザアッ、と波音が大きくなって、その音の向こうから声がした。
「……さーん!」
その声にはっとして目を開く。
「陽妃さーん!」
「……えっ」
まさか、と跳ね起きると、向こうから誰かが砂浜を走って来る姿が視界に飛び込んで来た。
真っ白な半袖のワイシャツに、グレーのズボン。
臙脂色のネクタイ。
真っ黒な髪の毛。
真っ黒な……瞳。
「陽妃さん」
息を弾ませながら駆け寄って来たその笑顔の眩しさに、
「……海斗」
あたしはやっぱり目を細めた。
「今、那覇から帰って来たんです。それで、陽妃さんにお土産持って行ったら居なくて」
ほら、と海斗が紙袋を掲げて笑う。
「そしたら、近所の人が浜の方へ行く陽妃さんを見たって言うから」
一瞬、雷に打たれて感電したのかと思った。
「何買えばいいのか分からなくて。悩んだ末に結局これ。紅芋タルト」
ずいっと差し出された紙袋を受け取りながら、あたしは固まってしまった。
4ヶ月振りに会った海斗は目のやり場に困るほど、見違えていた。
A高の校章が左胸ポケットに刺繍された半袖のワイシャツから伸びるたくましくなった腕。
広くなった肩幅。
明らかにぐーんと伸びた背。
イケメン、なんてそんな特売セールみたいに安っぽい言葉では表現しがたくて。



