恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

照り付ける陽射し。


真っ赤に燃えるハイビスカス。


青空に沸き立つ真っ白な雲。


真南風(まはえ)に揺れる草も木の葉も、鮮やかな深緑色で。


またこの島に灼熱の季節がやってきた。


高校最後の夏休み。


東京から帰って来てからあたしは1日のほとんどをおばあの家の縁側で過ごしている。


返って来た途端に、エアコンが故障してしまったのだ。


修理屋さんが来てくれるまであと3日もある。


おばあの家は昔ながらの床が高い造りで風通しが良く、涼しい。


暑さをしのぐには最適なのだ。


と、それは2番目の目的で、1番の目的はおばあお手製のおやつだったりする。


おばあの家にいると、午後3時前後に必ず手作りのおやつが出てくる。


あたしのいちばんの楽しみだ。


「あー、極楽ー」


風通しのいい縁側にごろりと横になって涼んでいると、のしのしと足音が近づいて来ておばあがあたしを上から覗き込んだ。


「くぬ、なまけもんが。起きなっさー」


「だあって、おばあの家、涼しいもん」


ぐだぐだしながら起き上がろうとしないあたしに、


「うりー。かめー」


とおばあが皿を差し出した。


香ばしい香りが臭覚を刺激する。


まるで餌付けだ。


「あっ! ポーポーだあっ」


餌につられて跳ね起きると、おばあは隣にちょこんと正座した。


「チューや特別おいしくなたんよ」


「いっただきまーす」


あたしはできたてのポーポーにばくりとかぶりついた。


もちもちしていて、たまらなくうまい。


「うんまー」


これは。


ほっぺたが落ちた。


「超おいしい!」


「あたりメーさぁ。誰が作ったと思うんか」


とおばあは得意げに鼻を鳴らす。


ポーポーはしっとり生地に油味噌を塗ってくるくる巻いた沖縄のクレープみたいなものだ。


ちょうど小腹がすいていたあたしは、ぺろりと平らげてしまった。


「あー、おいしかった。ごちそうさまー」


とまたすぐにごろんと横になったあたしを見て、おばあは呆れ顔だ。


「食って寝てぇ食って寝てぇ。ウシモーモーになっても知らねーらんよ」


確かに、帰って来てから太った気がしないでもない。