恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

何?


そんな言えないような意味が込められているの?


秘密、そう言われるとますます知りたくなる。


「何よ」


いいもん。


海斗が教えてくれないなら、後で海斗のお父さんに聞くから。


「いじわる」


ぷいっとそっぽを向いて、陽気に舞うみんなを眺めていると、また、海斗の手がほっぺに触れた。


「おれの手、冷たいでしょ」


「……うん」


ふう、と海斗がため息をついた。


「何でかね。春も夏も秋も冬も。いーつも手が冷たいのよ」


そう言った海斗は、少しだけ寂しそうな笑顔だった。


「時々、悲しくなるさ。手が冷たいのは、心も冷たいんかって思うのさ」


その瞬間、海斗があたしのほっぺから手を離そうとした。


「待って!」


自分でも信じられなかった。


「何か?」


海斗がピタリと動きを止めた。


「そのまま、触れてて」


無意識のうちに、その一言が口を突いて出ていた。


もっと、海斗に触れていて欲しくて、たまらなかった。


「えっ」と海斗が目を丸くした。


「あ……ただ……ひんやりして気持ちいいから」


周りは騒がしいのに、あたしと海斗が居る空間だけ、時間が止まったかのように静かな時間が流れた。


「じゃあ」


と再び海斗の指先が頬に触れる。


不思議と心が安らいだ。


「海斗。悲しくなる必要なんてないよ」


「え?」


海斗の真っ黒な瞳に、あたしが映っていた。


「海斗の手が冷たいのは、心が温かいからだよ。きっと」