恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

「つうかさー。やりたいことないし、オレと同じ大学行って夢見つけるって、ミカ言ってたじゃん」


「言ったよ。でも、それは2年の時の話だよ。今はもう見つけたもん。やりたいこと」


「だからってさ。なんで介護なわけ?」


思わずミカチャンに視線が行ってしまった。


すごい。


ミカチャン、介護の仕事目指してるんだ。


可愛い顔してるしおっとりして見えるのに、ちゃんと考えてるんだ。


「他にもっといい仕事あるかもしれないじゃん」


「じゃあ、例えば?」


「ほら、スッチーとか? 美容師とか? イロイロ。ミカさ、顔だけは可愛いんだしさ」


「……でも、私。そういうのじゃなくて、やっぱり介護の仕事に就きたい」


「お前知らないの? 介護って給料チョー安いんだよ」


「でも、それでもいいもん」


次第にケンカ腰の口調になっていくふたりを、サトコチャンとリノチャンがハラハラしながら見守っている。


「介護なんてダッセーよ。そもそもさー」


「ださくないよ。素晴らしい仕事だよ」


話を最後まで聞かずに言い返したミカチャンにムッとする彼。


うわ。


なんか面倒臭そう。


グラスをリノチャンの前に置いて、


「失礼いたします」


そそくさとこの場を離れようとしたあたしを「ちょっと、オネーサン」とすかさず呼び止めた男は、ミカチャンを顎で指して言った。


「こいつ、介護の仕事がしたいんだって」


なんで第三者に話を振るの。


バカじゃないの。


だからどうした、と言いたいところをぐっとこらえる。


「は、はあ……」


「ダッセーよな」


彼の一言に、ミカチャンは傷ついた顔をしてうつむいてしまった。


なんか……。


面倒なことに巻き込まれた気がする。


「だってさー、この子は」


男はサトコチャンを指さし、


「アパレル系の仕事目指してるしー」


こっちの子は、と次にリノチャンを指さした。


「ネイリスト目指してるんだよ」


「はあ……」


だから、何だ。