恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

「サトコチャン、イチゴとか好き?」


「う、うん」


「オレもオレもー! リノチャンは?」


「あ……あたしも」


女3人に、男がひとり。


「じゃあさ、これとかどう?」


と男がメニューを指さす。


「ほらこれ。イチゴのホイップクリームとマカダミアナッツ。あ、お前もこれでいいっしょ? ミカ」


「あ、うん。いいよ」


「でもさ、ミカ、チョコ好きじゃん。ほら、このチョコチップのにしたら?」


ねっ、とサトコチャンに話を振られたミカチャンが答える前に、


「あ――」


「ああ! いいのいいの!」


その男が割って入る。


「こいつは何でもいいの」


「「……」」


しらけムード全開のサトコチャンとリノチャンをよそに、ひとりハイテンションの男。


なんだ、この男。


「てかねー、ミカは優柔不断だからー。自分じゃ何も決めれないんだよな」


髪の毛はミルクティー色で、両耳はシルバーピアスだらけで。


見るからに頭が空っぽなんだろうなと思った。


今ここにハリセンがあったら、間違いなく叩きたい。


「だから、いつもオレが決めてやってんの。何でも。な、ミカ」


コバエみたいにうるさくてうざったいやつだな、とは来店してきた時から思っていた。


ぱぱっと食べて、とっとと帰ってくれないかなー、なんて。


結局、4人は同じ物を注文してきて、あたしがそのテーブルにパンケーキを運んだ。


始めは静かに食べていた男が、急に騒がしくなるまで時間は掛からなかった。


「まだんなこと言ってんのかよー。つうか、ミカにはムリだって!」


その男がゲラゲラ下品に笑いながら、大きな声を出す。


「悪いこと言わないからさー。黙ってオレと一緒の大学行けばいいんだって。何で急に専門学校なわけよ」


周りの人たちが迷惑そうな顔で4人のテーブル席をチラチラ見始める。


白い目で見られていることに気付く様子なく、男はべらべらしゃべり続ける。


「ミカさー、オレと離れて不安じゃないの? どうすんの、オレが浮気したら」


うっわー。


こういうのを自意識過剰っていうんだ。