恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

世間は夏休みということもあってなのか、小学生から老人まで幅広い年層の客足が途絶えることはなかった。


前半の3日間はとにかく疲れて、


「ご飯食べに行こうか。美味しい和食の店があるの」


「ご、ごめん。今日はコンビニのおにぎりで済ませる」


「そ……そう? 大丈夫? ゾンビみなたいな顔してるけど」


「……グロッキー」


バイト後は律子おばさんの誘いを断り、ホテルでぐったりの夜だった。


でも、変化があったのは4日目からだった。


目が回りそうなほどの忙しさの中に、小さな充実感を見付けたのだ。


働くって、けっこうおもしろい。


「何これ何これ! チョーうまそうじゃね?」


ところが、最終日。


あたしはやらかしてしまったのだ。


「オレ、甘い物に目がないんだよねー!」


お客様は神様です、と謳われるこの飲食業。


それは重々承知していた。


はずだった。


「すんげえいっぱい種類あるじゃん、この店」


でも、その男子高生だけはどうしても神様には見えず、あたしの目には不幸を呼び込む疫病神にしか映らなかった。


白いポロシャツに紺色のズボンに、かかとを履きつぶしたローファー。


都内の高校生だということは制服を見てすぐに分かった。


話し方はいかにも頭が悪そうで、外見はちゃらちゃらしている男子高校生がひとりに、女子高校生が3人。


4人1組の若い客が来店したのは、午前11時頃のことだった。


4人とも同じ校章が刺繍された制服だった。


「サトコチャンは何にする? リノちゃんは?」


そのふたりの女の子ではなく、やかましい男の隣に座った大人しそうな女の子が、バカ丸出しの男の彼女だと直感した。


携帯にお揃いのストラップを付けていたし、サトコチャンとリノチャンが都合悪そうにしていたから。