5月。
ついに里菜が専門学校への進学を決めた。
「いつか与那星で自分の店開く。そん時や陽妃が最初のお客さんになってね」
里菜はやっぱり美容師を目指すらしい。
「安くしてやるからさ」
「ほんと? 約束ね」
梅雨に入り、月桃の葉が爽やかに香り始めた。
進学か、就職か。
それさえも決められず、ただ漠然とした毎日を送るだけのあたしにその話が舞い込んで来たのは、梅雨明け間近、6月半ばの蒸し暑い夜だった。
「東京?」
「律子(りつこ)がこの春から原宿で店をオープンさせたのは知ってるでしょ?」
律子おばさんはお母さんの妹で、この春に原宿にパンケーキ屋をオープンさせていたのだ。
「意外と評判みたいで、人手が足りないらしいの。陽妃、夏休みに手伝いに行かない?」
「それは分かるけど。何であたしが?」
「もちろんバイト代は出るし、交通費も律子が負担してくれるって。どう?」
「どうって……別にあたしがわざわざ沖縄から出て行く必要なくない? バイトの募集かければ断りきれないくらいくるって。東京なら」
向こうは大都会なんだから、と乗り気じゃないあたしに、お母さんは言った。
「律子も陽妃に会いたがってるし。夏休み旅行だと思って、行ってみない?」
そりゃあ、律子おばさんのことは小さい頃から大好きだし。
あたしも会いたいけど。
「ええー……」
「夏休みに入ったらすぐ来ないかって。1週間くらいなんだけど、どう? ホテルもとってくれるって」
「うーん。でもなあ……」
「いいじゃない。悪い話じゃないと思うけどな、お母さん。それに、何かきっかけになるかもしれないじゃない」
卒業後はどうするつもり?
ダラダラ夏休み過ごすより刺激になっていいんじゃない?
社会勉強だと思って行って来たら?
「高校卒業してプー太郎するつもり?」
そこまで言われると、さすがのあたしも焦りを感じたというわけで。
ついに里菜が専門学校への進学を決めた。
「いつか与那星で自分の店開く。そん時や陽妃が最初のお客さんになってね」
里菜はやっぱり美容師を目指すらしい。
「安くしてやるからさ」
「ほんと? 約束ね」
梅雨に入り、月桃の葉が爽やかに香り始めた。
進学か、就職か。
それさえも決められず、ただ漠然とした毎日を送るだけのあたしにその話が舞い込んで来たのは、梅雨明け間近、6月半ばの蒸し暑い夜だった。
「東京?」
「律子(りつこ)がこの春から原宿で店をオープンさせたのは知ってるでしょ?」
律子おばさんはお母さんの妹で、この春に原宿にパンケーキ屋をオープンさせていたのだ。
「意外と評判みたいで、人手が足りないらしいの。陽妃、夏休みに手伝いに行かない?」
「それは分かるけど。何であたしが?」
「もちろんバイト代は出るし、交通費も律子が負担してくれるって。どう?」
「どうって……別にあたしがわざわざ沖縄から出て行く必要なくない? バイトの募集かければ断りきれないくらいくるって。東京なら」
向こうは大都会なんだから、と乗り気じゃないあたしに、お母さんは言った。
「律子も陽妃に会いたがってるし。夏休み旅行だと思って、行ってみない?」
そりゃあ、律子おばさんのことは小さい頃から大好きだし。
あたしも会いたいけど。
「ええー……」
「夏休みに入ったらすぐ来ないかって。1週間くらいなんだけど、どう? ホテルもとってくれるって」
「うーん。でもなあ……」
「いいじゃない。悪い話じゃないと思うけどな、お母さん。それに、何かきっかけになるかもしれないじゃない」
卒業後はどうするつもり?
ダラダラ夏休み過ごすより刺激になっていいんじゃない?
社会勉強だと思って行って来たら?
「高校卒業してプー太郎するつもり?」
そこまで言われると、さすがのあたしも焦りを感じたというわけで。



