恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

「美波ちゃんが気付いたのが4時半頃だよね?」


聞きながらあたしは携帯で時間を確かめた。


17時25分。


この島じゃ、行けるところは限られているし、そう遠くへは行っていないと思う。


「たぶん、また道が分からなくなって迷ってるのさ。今、平太と章太も探してくれちょるんやしが。陽妃さんも一緒に探してもらえませんか?」


空はまだ明るい。


でも、10月に入ってからは確実に日の入りが早くなった。


早く探さないと暗くなってしまう。


あたしは携帯をスカートのポケットに突っ込んで、頷いた。


「うん、分かった」


「ありがとう。わっさん。助かります」


「そう遠くには行ってないと思うけど」


「うん。平太と章太や集落回ってるしさ、わんやもう一回学校の方探してみるからさ」


「じゃあ、あたしは浜の方に行ってみるね」


「うにげぇします」


「じゃあ、また後でね」


見つかっても見つからなくても日が暮れる18時半に一度おばあの家の前に集合することを約束して、あたしたちは別れた。


海斗が退院して来てから、こういうことは何度かあった。


返って来た翌日に早速だった。


バス停の近くをうろうろしていたところを集落の人に保護された。


その数日後は隣の集落で見つかった。


またある日は昼休みに学校を抜け出し、ターミナルの方へ歩いていたところを郵便配達の人に発見されたり。


いずれにせよ、徘徊の理由はひとつだった。


――島を見て回れば何か思い出すかもしれないと思ったんです


海斗は海斗で、抜け落ちてしまった記憶を取り戻そうと必死だったのかもしれない。


あたしたち以上に、本人はもっと戸惑っていたのだと思う。










美波ちゃんの行動を確認した日以来、あたしは浜に近づこうとしなかった。


避けていたのだ。


だから、浜の砂を踏んだのは本当に久しぶりだった。