海斗が与那星島に戻って来てからは慌ただしく1週間が過ぎ、あっという間に2週間が経ち、気付けば10月も残り半分になっていた。
なんだかんだと、結局、あたしはまともに海斗を見ていなかった。
帰って来た日にあいさつを交わしただけで、会話というものをしていない。
この夏に東京から移住してきた、2つ年上の女子高校生。
海斗の中であたしはただのお隣さんになってしまっていた。
それを決定づけるような出来事があったのは、秋の気配を含んだ風が吹いた、ある日の夕方で。
あたしたちはもう、以前とは違う。
それを思い知らされた日だった。
ギラギラと照り付ける陽射しは日を追うごとに幾分か穏やかになり、沖縄にもほんのりと秋の感じられるようになってきた。
とは言っても、朝晩が涼しくなったくらいで、日中は汗ばむような陽気で長袖は着ていられない。
10月半ばといえども、島はまだ暑い日が続いていた。
学校から帰り、バス停から家に向かって歩いていると、
「陽妃さーん!」
後ろから呼ばれて振り向いた。
慌てた様子で追いかけて来たのは、制服姿の葵ちゃんだった。
「葵ちゃん」
息を弾ませながら駆け寄って来た葵ちゃんは汗びっしょりで、
「うにげぇさ! 協力してください!」
両手を合わせて頭を下げてきた。
「どうしたの? すごい汗」
「海斗が居なくなったんだしよ!」
「えっ、また?」
「やさー」
葵ちゃんはこくこく頷き、一度唾を飲み込んでから経緯を話してくれた。
「4時前に一緒に帰ぇーって来ちゃんしがね。美波ちゃんが4時半頃に確認しに行った時にや部屋から居なくなっていたって。またひとりで歩き回ってるんだよ、きっと」
「で、美波ちゃんは?」
「今、裏のおばあのとこにおる」
「そっか」
でも、あたしも葵ちゃんも取り乱すほど慌てたりはしなかった。
こんなふうに海斗が家や学校から居なくなるのは、これが初めてではなかった。
なんだかんだと、結局、あたしはまともに海斗を見ていなかった。
帰って来た日にあいさつを交わしただけで、会話というものをしていない。
この夏に東京から移住してきた、2つ年上の女子高校生。
海斗の中であたしはただのお隣さんになってしまっていた。
それを決定づけるような出来事があったのは、秋の気配を含んだ風が吹いた、ある日の夕方で。
あたしたちはもう、以前とは違う。
それを思い知らされた日だった。
ギラギラと照り付ける陽射しは日を追うごとに幾分か穏やかになり、沖縄にもほんのりと秋の感じられるようになってきた。
とは言っても、朝晩が涼しくなったくらいで、日中は汗ばむような陽気で長袖は着ていられない。
10月半ばといえども、島はまだ暑い日が続いていた。
学校から帰り、バス停から家に向かって歩いていると、
「陽妃さーん!」
後ろから呼ばれて振り向いた。
慌てた様子で追いかけて来たのは、制服姿の葵ちゃんだった。
「葵ちゃん」
息を弾ませながら駆け寄って来た葵ちゃんは汗びっしょりで、
「うにげぇさ! 協力してください!」
両手を合わせて頭を下げてきた。
「どうしたの? すごい汗」
「海斗が居なくなったんだしよ!」
「えっ、また?」
「やさー」
葵ちゃんはこくこく頷き、一度唾を飲み込んでから経緯を話してくれた。
「4時前に一緒に帰ぇーって来ちゃんしがね。美波ちゃんが4時半頃に確認しに行った時にや部屋から居なくなっていたって。またひとりで歩き回ってるんだよ、きっと」
「で、美波ちゃんは?」
「今、裏のおばあのとこにおる」
「そっか」
でも、あたしも葵ちゃんも取り乱すほど慌てたりはしなかった。
こんなふうに海斗が家や学校から居なくなるのは、これが初めてではなかった。



