恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

――人間や悩むし、道に迷う生き物です。先生もいっぺー道に迷ったよ。やしが、奥さんに出逢ってからや道に迷わなくなりましちゃん。それや、いちばん星を見付けたからです


「いちばん星や夜空で一番最初に一番明るく輝く星やさから。道が分からなくなったら、いちばん星を目印にすればちゃんと家に帰ぇーれるんだよって。先生、言ってたんだしよ」


――みんなやこれからたくさんの人に出逢って、別れを経験しながら大人になる中で、たくさん悩むと思うし道に迷うと思います


――そしていつか恋におちて、自分の人生を変えてしまうくらい大切だと思える人に出逢うと思います


「そん人がみんなにとっていちばん星なんだよ、って」


――恥ずかしいんだけど先生さ、奥さんがおらんと道に迷って迷子になってしまいます


「そんくらい大事な人です、って先生言ってたんだしよ」


そして、ターミナルに到着した時だった。


「海斗のいちばん星なんだしよ」


唐突に、葵ちゃんが言った。


「陽妃さんや海斗のいちばん星なんだしさ」


「えっ、あたし?」


思わず立ち止まったあたしを振り返りながら「だってそうでしょ」と葵ちゃんが微笑んだ。


「気付いちゃんら、海斗、男の人になってたもん」


ふわっと温かい風があたしと葵ちゃんの間を吹き抜けて行った。


「くぬ前まで、わんとそう変わらん身長だったのにさ。気付いちゃんら、海斗、学校で一番背が高くなりよった」


確かに、そうかもしれない。


この2か月で海斗は一気に背が高くなった気がする。


いつのまにかあたしより頭ひとつ分大きくなった。


「声もさ。低くなりよった」


出逢った頃、海斗は変声期まっただ中だった。


高いのと低いのが混ざって、不安定な声をしていたのに。


ドキドキしゃうような低い男の人の声になった。


「陽妃さんに恋をしてから、海斗やどんどん大人になってさ。まるで知らん人みたいさ」


恋ってすごいね、と葵ちゃんは少し寂しげに笑顔を曇らせる。


「海斗さ、陽妃さんを見つけるとみー(目)がキラキラするんだしよ。でーじ幸せそうに笑うんだしさ、海斗」