恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

「おはよー。里菜、悠真」


あたしはいつものように、ターミナルでふたりとおちあった。


「おはよう。陽妃、数学の宿題やってきたかね?」


「うん、一応。でも、イマイチ自信なくて。学校着いたら里菜のやつ見せて」


「うん。実はわんもさ自信ねーらん」


「何さー。わんが教えてやるさ」


と横から口を挟んだ悠真に、あたしたちは同時に断りを入れる。


「いい! 大丈夫だから」


「なんくるないさ!」


「エーエー! 絶対教えてやらねーしよ!」


とても良く晴れた、朝から暑い日だった。


本当にいつもと何も変わらず、石垣島へ向かうフェリーに乗り、あたしたちは3人でわいわい騒ぎながら、学校に向かう。


はずだった。


まさか、向こうからコンタクトを取ってくるとは思ってもみなかったし。


考えたこともなかった。


でも、いまになると、彼女は彼女で不安だったのかもしれないと思う。


不安に押しつぶされそうになっていたんじゃないか、って。


だから、記憶をなくした海斗が戻って来る前に、あたしと話したかったのかもしれない。


朝からつけられているな、とは思っていた。


気付いたのはターミナルのバス停に下りた時だった。


でも、まさか、石垣島行きのフェリーに一緒に乗り込んでくるとは思っていなかったし、知らないふりをしていた。


ところが、彼女はとうとう、石垣島離島ターミナルに着いて来てしまった。


ターミナルを出て、


「里菜、悠真」


歯医者の予約してるから、と理由を作ってあたしはふたりと別れた。


どういうつもりなんだろう。


あたしは学校とは真逆の方向へ歩き出した。


少し歩くと、お土産屋さんが軒を連ねる通りに出た。


まだ朝が早いためか、どこも閉まっている。


スタスタ歩くあたしの数メートル後方。


彼女はひたひたと着いて来る。