恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

「陽妃、陽妃、どうだね!」


うりー、と悠真は少しだけ短くなった髪の毛を指さした。


「あ……髪、切ったんだね」


「やさ! どうだね! アイバチャンみたいやっさーろ?」


「またそれかね。聞いてよ、陽妃。悠真さ、髪切ってから毎日毎日これさー。全然似てねーらんのにさぁ」


里菜の相変わらずの絶妙なタイミングの突っ込みは健在で。


「ばっかー! 似てるんだしよ! わんや与那星の期待の星なんだしさ」


「はーっさ。まだ言うかね」


「わんやジャニーズに入るんだしさ」


ニタと笑みを浮かべた悠真のピアスは相変わらずキラキラで。


真っ赤で、綺麗で。


「えっ、悠真、ジャニーズに入るの?」


笑いながら聞くと、里菜が呆れに呆れた顔で悠真をドンとど突いた。


「ただの譫言だしよ。24時間、寝ぼけちょるんだしさ」


「寝ぼけてねーらん! あのさ、陽妃……実はさ」


ここだけの話さ、と悠真が大真面目な顔でこそこそと耳打ちをしてきた。


「3日前さ、芸能事務所の偉い人にスカウトされたんだしよ」


「えっ! 嘘っ! すごいじゃん!」


この1週間で何がどうなったの? 、と興奮するあたしの肩を叩いたのは、


「騙されないでね、陽妃。何もすごくねーんだしさ」


と妙に冷静な口調の、必死に笑いを堪える里菜だった。


「……どういうこと?」


首を傾げると、里菜がブッと吹き出し、悠真をちらりと横目で流し見た。


「3日前にさ、芸能事務所の偉い人にスカウトされる……ぶっ……夢を見たんだってさ!」


「ゆっ、夢?」


なーんだ、結局そういうオチか、とあたしも吹き出してしまった。


げらげら笑っていると、悠真は仏頂面で言った。


「いやぁ。あの夢やさ、お告げだと思うんだしよ。神様がさ、やーは芸能人になれーって言ってる気がするんだしよ」


「バカか、悠真。笑わさんけー」


「わんや真面目に言ってるさぁ」


そんな悠真をさらっと無視して、里菜は天井を仰ぐジェスチャーをした。


「誰かねー。進路希望の用紙に“アラシに加入する”って書いて、先生に怒られたの。誰か?」