恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

生まれつき霊的な能力を持った女性が、ある日突然、不幸に遭遇して「神ダーリ」という幻覚聴に陥ることがある。


その時に聞こえてくるのが、どうも神様の声らしい。


それから巫女の修行をしたあと、一人前のユタになるのだそうだ。


「へえ。なんか、すごいね。でも、嘘をついてるんじゃないの?」


もともと、あたしはそういうのは全く信じないタチなのだ。


占いも、幽霊も、UFOも、予言も、透視も。


あたしは信じない。


「お金稼ぎで汚いユタも中にはいるけどね」


と海斗が苦笑いした。


「でも、おばあは本物のユタさ」


ウシラシ。


それは何かが起こる前触れに、ユタの身の回りに起こる現象らしい。


「例えば、仏壇のもんが倒れたり。閉まってる戸が開いたりね。いろいろさ」


そういう怪奇的なことは信じないタチだけど。


「じゃあ、ウシラシはお知らせみたいなものね?」


「んん、そんな感じよね」


海斗や美波ちゃんが言っていることは、何故だか嘘だとは思えなかった。


ウシラシ、かあ。


予言、ね。


「そっか……もしそれが本当なら、なんかちょっと怖いよね」


あたしが肩をすくめると、


「なんも怖いことはないさ!」


海斗は全開の笑顔になった。


今になって思えば、あの日の「ウシラシ」は、この先のあたしたちの関係を予言する何かだったんじゃないか、って。


今なら、素直にそう思えるのに。