恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

「フラー! 誰がそんなん頼んだのさ! いらねーらん!」


悠真はあたしと目を合わせたまま、


「にぃにぃ、毎朝買うでしょ。いらないの?」


と困り顔のおばあにそれを押し返す。


「ビール……オリオンビールくぃみそーれ! 泡盛やてぃんしむんど!(泡盛でもいいよ!)」


「未成年に酒が売りゆんかね!」


背後から売店のおばあが悠真の頭をぺしっと叩いた。


「あがっ」


「うりー、さんぴん茶。酒や大人になってから買いに来よーさい」


代金もらうよ、とおばあはカウンターの小銭を受け取り、茫然としている悠真の背中をどんと叩いた。


「聞いちょるんかね! にぃにぃ!」


すると悠真はさんぴん茶をぐいっと飲み、またカウンターにペットボトルをぶっきらぼうに置いた。


「あいっ! にぃにぃ! 持って行かねーらんの?」


と引き止めるおばあに「しぐに戻る」と言い残して悠真は慌ただしく待合ロビーの方へ走って行ってしまった。


そして、本当にすぐに里菜をずりずり引きずりながら戻って来た。


「何ね! 何するのさ、悠真!」


「いいからさー! 見れー、うりー」


「何をさ! もー離しよーさいよ!」


と里菜が悠真の手を振りほどこうとするけれど、悠真も引き下がらない。


「うりー!」


悠真は里菜を掴んだまま、あたしを指さした。


「もー何……さ……」


あたしを見た途端、里菜がキャアッと奇声のような声を上げて悠真に飛び付く。


「「陽妃が来ちゃー!」」


ふたりは声を重ねて、イッエーイ! 、とハイタッチをしてあたしに駆け寄って来た。


「陽妃ー!」


「里菜、ごめんね! メール返さなくて」


ごめん、と頭を下げると里菜はあたしの肩をべしべし叩いて、気にさんけー、と笑った。


「わんなんかさ、悠真のメールや大概シカトするしさ!」


「ほんと、ごめんね」


すると、今度は悠真が横から口を挟んで来た。