恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

あたしは溜息を吐き出して、うつむいた。


ほんっとに、情けない。


「ねぇねぇ、どうしたのか?」


うつむくあたしの手を握り、美波ちゃんが顔を覗き込んでくる。


「ううん」


あたしはふるふると首を振った。


これじゃあダメだと思った。


このままただ時間が去るのを待っていても、無駄なんじゃないかって。


美波ちゃんの一言は、確実にあたしの頬を平手打ちした。


――今度は美波がにぃにぃを助けるんだよ


ぴしゃりと叩かれてしまった気がする。


戸惑っているのはあたしだけじゃない。


辛いのはあたしだけじゃない。


みんな、同じ思いを抱えている。


美波ちゃんも、おばあも。


「美波ちゃん」


あたしは、美波ちゃんの手を強く握り返した。


「それ、あたしにも手伝わせてくれない?」


美波ちゃんがキョトンとしてあたしを見つめ返して来る。


「あたしじゃ頼りないかもしれないけど」


もしかしたら、何もできないかもしれないんだけど。


でも、あたしもそうだから。


いつも、海斗に助けてもらってばかりだったから。


「にぃにぃを助けるの、あたしにも手伝わせてくれない?」


「えっ!」


「あたしも海斗に助けてもらってばかりだったんだ」


だめかな? 、と聞くと、美波ちゃんはやっぱり真っ赤なハイビスカスのように、鮮やかに笑った。


「もちろんさ! にぃにぃや人を助けてばかりだね」


手を繋いで帰ったあたしたちを待っていたのは、おばあ特製のほかほかの朝ごはんだった。










1週間ぶりに制服を着た。


少しだけ痩せてしまったことに気付いた。


バスを降りて、あたしはターミナルの入り口前で深呼吸をした。


まずは、そうだ。


ふたりに謝らなければ。