恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

「あひゃー。どうなっちょーさーぬみ! かむい様もサバチャみするんか!」


うわっ。


美波ちゃんがこっちに来る。


どこか隠れるとこ、と辺りを見ても隠れられそうな所なんて見当たらない。


「えっ! ねぇねぇ!」


「……あ」


結局、見つかってしまった。


ずひ、と鼻を啜ったあたしを見て、みなみちゃんがキョトンとしている。


「こんなとこで何しとるばぁ?」


「あ……えっと……あの」


まさか、美波ちゃんの行動を確かめに、なんて言えない。


しどろもどろになっていると、


「もしかして、おばあから聞いたの?」


「え?」


「もー絶対ヒミツって言ったのにさー。ばれてしまったさー」


えへぇー、と小さな体をくねらせ、美波ちゃんは「恥ずかしい」と顔を赤くしてはにかんだ。











帰り道の途中で、美波ちゃんがあたしの服を引っ張ってきた。


「あのさ、ねぇねぇ」


「どうしたの?」


「あのさ、美波さ、知ってるんだよ」


「なにを?」


美波ちゃんは大きな瞳をくるくるさせながら言った。


「にぃにぃやキオクソウシツなんしょみ?」


「……え」


あたしは動揺を隠し切れず、道の真ん中に立ち止まってしまった。


なんでそのことを知っているんだろう。


誰から聞いたんだろう。


「なんで、美波に隠すのかね。みんなしてさ」


知ってるんだよ、と美波ちゃんは寂しそうにほうっと溜息を吐いた。


海斗のお母さんは、美波には帰ったらきちんと話すからそれまで黙っていて欲しい、とあたしたちに言っていたのだ。


だから、美波ちゃんはまだ知らないはずなのに。


誰から聞いたんだろう。


どう答えればいいのか戸惑っていると、美波ちゃんが沈黙を破った。


「学校のことも、友達のことも。家族のこと以外全部忘れてしまったんでしょ?」


大きな瞳をぱっくりと見開いて、美波ちゃんが見つめてくる。


どこで知ってしまったんだろう。


一体、誰から……。


あたしは言葉を詰まらせながら聞いた。


「誰が……そんなこと?」