恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

「ウシラシのこと、何で知ってるう?」


「え、おばあちゃんがウシラシがどうとか言ってたから」


「おばあが言ったんか? ウシラシがあったんか?」


突然、海斗の口調が早くなった。


「よく……分かんない」


あたしの困った顔を見て、海斗がハッとした顔をした。


「おばあは、こん島で唯一のユタさ」


「……ユタ?」


また、わけのわからない言葉が出た。


「そうさあ。島のみんなは、おばあのことをかみんちゅって言ってるよ」


「かみんちゅ?」


「神の人って書いて、かみんちゅよ」


神人……。


沖縄にはたくさんの「ユタ」と呼ばれる巫女が居るらしい。


先祖供養、亡くなった人の儀礼、占い……それらを含めたいろんな祈祷をするらしい。


予言みたいなことも。


「占い師なの?」


あたしが首を傾げると、海斗はううーんと困った顔をした。


「おばあは、神様の声が聞こえるのさ」


「嘘だあ、聞こえるわけないじゃん」


あたしが笑い飛ばすと、美波ちゃんが手を引っ張った。


「本当さあ! おばあのウシラシは大当たりするよー」


「本当に?」


「そうさ。この間、隣のおじいが死んだ時もウシラシ大当たりしたもんねえ」


どうやら、誰でもそのユタになれるわけではないらしい。