あたしは海斗が入院したという病院によってから、夕方のフェリーで帰ることにした。
里菜と悠真は一緒に行こうかと何度も言ってくれたけど、丁寧に断った。
ただでさえ私事に巻き込んでしまったのに、これ以上の迷惑をかけるわけにはいかない。
「じゃあ、あたし行くね。また明日」
校門前でふたりと別れ、あたしはターミナルとは反対の方向へ歩き出した。
道路に倒れ込んだ街路樹。
点灯していない、破損した信号機。
台風が残して行った爪痕が残る道を歩いて病院に到着した時には15時を回っていた。
海斗の病室は5階の神経内科病棟にあった。
「573、573……」
総合案内で教えてもらった番号の病室を探して、患者の家族やお見舞いの人が休めるデイルームの前を通り過ぎた時、
「……陽妃さん?」
呼ばれて振り向くと、そこに立っていたのはTシャツにショートパンツ姿の、彼女だった。
「葵ちゃん……」
その後ろには彼女の父親も居て、
「あ、須藤さんとこの」
とあたしに会釈をしてくれた。
「あ、須藤陽妃です」
あたしも会釈を返す。
父親と一緒に海斗のところに来たのだろう。
「何しに来たんですか?」
くぐもった声で葵ちゃんが言った。
え? 、とあたしは首を傾げた。
「何って……海斗が入院したって聞いたか――」
「陽妃さんのせいさ!」
病棟に、ガラスが割れるような甲高い声が響いた、直後だった。
「あんたのせいさ!」
と、葵ちゃんは目を血走らせて、あたしに掴みかかって来た。
「こんな事になったんは、陽妃さん、あんたのせいよ!」
「ちょっ……離し――」
「どうしてくれるの! どうしてくれるのさ!」
凄いというより、凄まじい力だった。
制服の襟元がビリッと音を立てて裂けてしまった。
それでも葵ちゃんは理性を失った獣が獲物に噛み付くようにあたしをまくし立て、掴みかかってくる。
里菜と悠真は一緒に行こうかと何度も言ってくれたけど、丁寧に断った。
ただでさえ私事に巻き込んでしまったのに、これ以上の迷惑をかけるわけにはいかない。
「じゃあ、あたし行くね。また明日」
校門前でふたりと別れ、あたしはターミナルとは反対の方向へ歩き出した。
道路に倒れ込んだ街路樹。
点灯していない、破損した信号機。
台風が残して行った爪痕が残る道を歩いて病院に到着した時には15時を回っていた。
海斗の病室は5階の神経内科病棟にあった。
「573、573……」
総合案内で教えてもらった番号の病室を探して、患者の家族やお見舞いの人が休めるデイルームの前を通り過ぎた時、
「……陽妃さん?」
呼ばれて振り向くと、そこに立っていたのはTシャツにショートパンツ姿の、彼女だった。
「葵ちゃん……」
その後ろには彼女の父親も居て、
「あ、須藤さんとこの」
とあたしに会釈をしてくれた。
「あ、須藤陽妃です」
あたしも会釈を返す。
父親と一緒に海斗のところに来たのだろう。
「何しに来たんですか?」
くぐもった声で葵ちゃんが言った。
え? 、とあたしは首を傾げた。
「何って……海斗が入院したって聞いたか――」
「陽妃さんのせいさ!」
病棟に、ガラスが割れるような甲高い声が響いた、直後だった。
「あんたのせいさ!」
と、葵ちゃんは目を血走らせて、あたしに掴みかかって来た。
「こんな事になったんは、陽妃さん、あんたのせいよ!」
「ちょっ……離し――」
「どうしてくれるの! どうしてくれるのさ!」
凄いというより、凄まじい力だった。
制服の襟元がビリッと音を立てて裂けてしまった。
それでも葵ちゃんは理性を失った獣が獲物に噛み付くようにあたしをまくし立て、掴みかかってくる。



