「おはよー、変わりないかね」
朝、6時頃、当直の眞栄田先生が各部屋に回って来た。
「かじふちやもう行ったやしが、まだ天気が悪いからさ、油断できないからさ」
まだ外には出るなよ、と眞栄田先生が言った。
「先生、今日さ、フェリー出るかね? 帰れるかね?」
里菜が聞くと、眞栄田先生は難しい顔をした。
「かじも弱くなったしさ、じきに雨も上がると思うよ。やてぃん、海やまだ波が高いと思うからさ、難しいかもしれねーらん」
何か分かったら教えに来るから、と眞栄田先生はあたしたちにサンドウィッチとアイスコーヒーを置いて行った。
『非常に強い台風23号は今日昼頃には沖縄本島を抜ける見込みですが……』
そして、その連絡が入ったのは朝のニュース番組を観ながらサンドウィッチを食べていた時だった。
外は次第に雨も弱まり始めていた。
『おはよう、陽妃』
いい知らせじゃないことは、お母さんの声色とその一言で分かってしまった。
お母さんは、言った。
『今朝、明るくなってからね、海斗くんが』
帰って来たよ、じゃなくて。
『見つかったよ』
見つかったよ、と。
『海斗くんね、どこも怪我してなくて元気だって。元気なんだって……とっても』
会長さんを始め、集落の男の人たち、消防の人たちは、交代しながら一晩中海斗を探してくれたらしい。
そして、海斗が見つかったのは朝方で。
『とっても元気だし、けろっとしてるらしいのよ……ただねぇ』
与那星浜をふらふら歩いていた海斗を見付けたのは、渡嘉敷のおじさんだったらしい。
『おかしいみたいなの、海斗くん』
「おかしいって……?」
『おかしなことを言うらしいの』
「どんなこと言ってんの?」
『お母さんも電話で聞いただけだから、詳しいことはまだ』



