恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~







大型の台風が一晩かけて猛威を振るい、大きな爪痕を残して、通り過ぎて行った。


停電が復旧したのは、夜明け頃だった。


泣き疲れてうとうとし始めた時、突然、息を吹き返したように蛍光灯がついた。


外はまだ薄暗い。


あたしの錯乱状態に嫌な顔ひとつせず付き合ってくれて、疲れてしまったのだろう。


里菜も悠真もぐっすり眠っていた。


あれから、まだ、連絡はない。


でも、不思議なほど、あたしは冷静だった。


外は次第に風がおさまりはじめていた。


でも、雨は相変わらず降り続いている。


あたしはふたりを起こさないように、ボリュームを低くしてテレビをつけた。


台風は今、沖縄本島の北部を縦断しているらしい。


昨晩の被害映像の上にテロップが流れていた。


猛風に煽られ横転した大型トラック。


なぎ倒された街路樹。


その爪痕は、あたしの想像を遥かに超えていた。


台風の吹き返しに注意、とテロップが流れた時、


「……復旧したんかね」


悠真が目を覚ましたらしくむくっと起き上がり、くあっとあくびをした。


「うん。今さっき」


「そうかね」


台風情報を確認した悠真が、窓の外を見ながら聞いてきた。


「連絡、まだ来てねーらんのか?」


「うん」


「……そうか」


歯がゆいね、と悠真が背中を丸くした。


「人間や大自然の力には太刀打ちできねーらん」


「……うん」


「無事だといいね、カイト……」


「うん……」


あたしは膝を抱き締めて、そこに顔を埋めた。


「悠真」


「うん?」


「取り乱して……ごめんなさい」


「気にさんけー」


と悠真があたしの頭をわしゃわしゃとぶっきらぼうに撫でた。


「陽妃の気持ち、分からねーらんでもないからさ。わんも、里菜も」


「……ごめん」


「いいさー。謝るなよ」


いつもぶっきらぼうな悠真が優しいなんてなんだか可笑しくて。


「でも、やっぱり……ごめんね」


膝に顔を埋めながら、こっそり、泣いてしまった。


「なんくるないさ、陽妃」