恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

まだ学校から帰ってないのかな。


ディスプレイに表示される時刻は17:20から21にぱっと切り替わる。


「いやいや、まさかね」


さすがにそれはないな。


高校だって午前で切り上げになったくらいなのに。


「あ、そうだ」


おばあの家にふたりで身を寄せているのかもしれない。


きっと、海斗の両親はあいかわらず民宿だろうし。


おばあの家で夕餉をしているかも。


と、今度はおばあの家にかけてみることにした。


『ウー。ゆーしーねーしみ? (もしもし?)』


出た。


ほっと息を吐いて「おばあ、あたし、陽妃」と名乗ると、おばあの声が返って来た。


『やー、どこに居てるんか?』


「あ、あのね、学校。学校の寮にいる」


『なんでか?』


「実はフェリーに乗り損ねちゃって。今日はこっちに泊まるから」


そっちはどうなのか、ふたりは来ているのか、聞いていると突然、ブツブツと雑音が入るようになった。


「えっ? 何? おばあ?」


『は……ひ…こっちやぁ……で……じ……なっ……るよ』


ブツブツ、おばあの声が途切れ途切れになって、うまく聞き取れない。


「何? 聞こえないよ、おばあ」


『……は……るひ……』


雑音に困っていると、今度はおばあの声とは明らかに違う声が聞こえてきた。


『ぇ……ねぇー……よっ……ぁーっ……』


美波ちゃんの声だ。


良かった。


やっぱりおばあの家に居たんだ。


「美波ちゃん? 美波ちゃん?」


『ぇねぇー……てぇー……』


「え? 何?」


と聞き返した時、突然、ブツリと切れてしまった。


切れちゃった……。


すかさずもう一度かけてみたけれど、今度は繋がらなくなってしまった。


どうしたんだろう。


でもまあ、美波ちゃんが出たってことはきっと海斗もそこにいるだろうし。


と、思いつつも妙に気になって、今度はお母さんの携帯にかけてみる。