恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

「いいね。喜屋武、稲嶺、須藤。絶対に寮から外に出ないこと。先生と約束さ」


はーい、と3人声を揃えて返事をすると、


「しちゃんら、先生や帰ぇーるよ。あとは何かあったら管理人室に行きよーさい。当直の眞栄田先生がおるからさ」


外には絶対出るなよ、と口酸っぱく言って、仲里先生は帰って行った。


「えー、里菜、陽妃。かじふちが来ちゃんら停電になるかもしれねーらん」


その前にシャワー使ってしまお、と悠真が言った。


沖縄の台風は凄まじい。


停電や断水になることは珍しいことじゃないらしい。


あたしたちはじゃんけんで順番を決めて、シャワーを使った。


その後は仲里先生が用意してくれた電気ポットでお湯を沸かし、非常事態に備えてテーブルの上に懐中電灯やロウソクなどを並べた。


なんだかんだとしているうちに、気付けば夕方になっていた。


17時。


いつもならまだ明るくて西日がきつい時間帯だ。


でも、今日は雨が降っているせいか、いつもより格段に暗い。


夕食にしては少し早いけど、いつ何が起こるか分からないし、と、あたしたちはテレビで台風情報を見ながらカップラーメンを食べることにした。


『非常に強い台風23号は午後5時現在、勢力を保ったまま北上しており、八重山諸島に最も接近し、波照間島が台風の目に入っています』


「おおおー来たさー来たさー」


カップラーメンを突きながら、悠真がテレビにかじりつく。


「よそ見さんけー、こぼすよ」


里菜に注意されてもそっちのけだ。


「エーエー、分かってるさー」


「……分かってねーらんな」


『台風は今後、速度を上げて北上。夜遅くには北東から北西にやや西に進路を変え、朝方にかけて暴風域を伴ったまま、沖縄本島と奄美地方に上陸する恐れがあります』


テレビではアナウンスと共に、すでに被害の映像が流されている。


電柱が傾いていたり、街路樹がなぎ倒されていたり、看板やトタンが飛び道路を塞いでいる。