恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

「良かったさー。許可が取れたよ。やしが、一部屋しか空いてねーらんからさ、6畳に3人入ることになるけど、いいかね」


本当にありがたかった。


「悠真や邪魔やしが、この際、どうでもいいさー! 先生、ありがとー!」


「邪魔って何さ! 里菜!」


「先生、ありがとう!」











寮の空き部屋はがらんとしていて、でも、テレビや冷房も取り付けられていて、狭いけどシャワー室もあって、台風をしのぐには十分すぎた。


トイレは共同で不便だったけど。


この際、文句は言っていられない。


ジャージに着替えて休んでいるとドアがノックされ、また仲里先生が顔を出した。


「うりー。くり使うといいさー」


薄手の夏掛けが3枚、小型の電気ポット、非常用の懐中電灯にロウソクとライターを持って来てくれたのだ。


「さー行くかね。与那星組」


仲里先生はとても面倒見が良く、生徒からも父兄からも絶大な支持を受けていたりする。


先生は38歳で、3年前にもともと病気がちだったという奥さんを亡くし、今は男手ひとつで9歳になる娘さんを育てているらしい。


シングルファザーというやつだ。


「カップラーメンくらいなら先生が買ってやるさー」


きっと、いろいろと大変なんだと思う。


今だってきっと娘さんのことが気がかりのはずだ。


「あっ、やしが。お菓子や自分で買いよーさいよ」


でも、明るく笑って、あたしたちを近くのスーパーに車で連れ出してくれた。


寮生ではないあたしたちには食事が出ないのだ。


あたしたちは多めに非常食と飲み物、下着などを買って、また寮に戻った。