恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

照屋くんはちょっと変わっていると思う。


今時、分厚いレンズの丸い黒縁眼鏡で猫背で、ちょっとへん。


いわゆるオタクなんだと思う。


でも、なぜかみんなから人気があったりもする。


「ふーん……朝とあまり変わりない情報さ」


ぽつ、と呟いて携帯ラジオのスイッチを切った照屋くんの後頭部を、上原くんが教科書で叩く。


「くりゃあ! 途中で消すなよー!」


「あがっ!」


上原くんは野球部で、無駄に声が大きい人だ。


「つけれよー! つけれー、照屋ぁー!」


「何さーもー……」


電池が残り少ねーんだしさー、と文句を言いながらも照屋くんが渋々ラジオにスイッチを入れ直した。


『……また、台風23号は八重山列島と宮古諸島を暴風域に巻き込みながらやや北西に進路を変え、今夜遅くには沖縄本島と奄美地方に接近する予想です』


シン、と静まり返る教室。


みんなが真剣な面持ちで台風情報に耳を傾けるのも無理はない。


『――今夜遅くにかけて猛烈な風邪やしけに注意が必要で』


このクラスの生徒は4割が寮に入っていて、2割が下宿をしたり親戚の家から通っている。


残り4割は近くの離島からフェリーだったり高速船を利用して通っている。


みんな、交通機関が気になるのだ。


『空の便は約100便の欠航が決まり、急遽、各離島を結ぶフェリーも昼前後から欠航が決まっ――』


「あいっ! ターミナルに問い合わせてみるさ」


「はっさ、大変さ」


「こうしちゃおれねーらん。帰ぇーろう」


台風情報の途中で、みんなが騒ぎ出した。


その直後だった。


生徒は各教室に入り、担任の指示に従うように、と校内放送が流された。