恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

「告白した時に言われたやさからねー」


――里菜のちら(顔)見てると亮介んこと思い出してしまうからさ。同じちらだしさ


「わんのちら見ると苦さんやしが。やさから、もう好きでいたらいけねーらんし。悠真を困らせるだけやっさーけ」


里菜の寂しそうな横顔に胸が締め付けられる。


「もういい加減諦めないとねー」


里菜はいつだっておひさまみたいに笑ってばかりいたけど。


あの笑顔の下にそんな切ない想いを隠していたのかと思うと。


毎日、葛藤していたのかと思うと、たまらない気持になった。


「振られたんはもう仕方ないしさ。後やわんの気持ちの問題やっさーから。悠真には幸せになって欲しいしさ。前に進んで欲しいしさ」


やしがさ、と里菜が表情を曇らせる。


「幸せになって欲しいと思う一方でさ、他の子を好きになって欲しくないって思ってしまうんだしよ」


そんな自分が嫌でたまらんよ、そう言った里菜の口からふぅっと小さな溜息がこぼれた。


「わんや矛盾だらけだね」


「……でも」


あたしは思う。


「それってきっと、普通のことだよ」


と。


「どこがか?」


「好きな人には幸せになって欲しいし。でも、他の子は見て欲しくないし、自分だけ見て欲しいし」


そう思ってしまうのは、普通のことだと思う。


「恋をすると、みんな、矛盾だらけだよ」


「……そうなのかね」


「あたしなんて矛盾だらけだよ。それに、気付いたらいつもすれ違ってばっかだもん」


基本的に素直じゃないから、と昨晩のことを打ち明けると、


「そうか。好きだって気付いたかぁ」


里菜はおもむろにあたしの手に手を重ね、穏やかな口調で言った。


「すれ違えてるうちはまだ幸せだしよ」


と。