バシャバシャ、駆けて来る音がして、ふたつの人影がこっちに向かって来る。
その声にハッとした。
「あっれぇー? 真っ暗やっさー!」
えっ。
あたしは反射的に駆け出し、おばあの家をぐるりと囲んでいる珊瑚でできている石垣の陰に身を隠した。
なんで隠れてしまったのか、自分でもよく分からなかった。
別に隠れる必要なんてないのに。
駆けて来たのは、びしょ濡れのふたりで。
「おっかしいねー」
海斗と、
「えーおらんのー?」
葵ちゃんだった。
おばあの家の正面で立ち止まった海斗が、中を覗き込む。
そして、玄関に鍵が掛かっていることに気付いたのか、首を傾げた。
「……何でか?」
そんな海斗の隣で彼女もまた首を傾げる。
「じゅんにおらんの? 寝てしまったんじゃない?」
「いや、やしが、鍵が掛かっちょる」
「珍しいよね。おばあがおらんなんてさ」
そう言った葵ちゃんがルリに気付いたらしい。
「ネコさ! ……あいっ、このネコ、エサ食べてるよ。おばあがおらんなら、誰があげたのかね」
ドキッとして、あたしはなぜかさらに身を小さくしてしまった。
「あ、やさ。陽妃……きっと陽妃さ」
美波や陽妃の家におるかもしれんやさ、そう言って、じゃあねと駆け出そうとした海斗の腕を、
「待って!」
葵ちゃんが両手で掴んで引き止めた。
雨の中、見つめ合うふたり。
「行かんで!」
「なに言っとるば。美波が待ってるからさ」
離して、と海斗が手をほどこうとするけれど、
「ダメさ! 絶対ダメさ!」
葵ちゃんは頑なになって引き止める。
その声にハッとした。
「あっれぇー? 真っ暗やっさー!」
えっ。
あたしは反射的に駆け出し、おばあの家をぐるりと囲んでいる珊瑚でできている石垣の陰に身を隠した。
なんで隠れてしまったのか、自分でもよく分からなかった。
別に隠れる必要なんてないのに。
駆けて来たのは、びしょ濡れのふたりで。
「おっかしいねー」
海斗と、
「えーおらんのー?」
葵ちゃんだった。
おばあの家の正面で立ち止まった海斗が、中を覗き込む。
そして、玄関に鍵が掛かっていることに気付いたのか、首を傾げた。
「……何でか?」
そんな海斗の隣で彼女もまた首を傾げる。
「じゅんにおらんの? 寝てしまったんじゃない?」
「いや、やしが、鍵が掛かっちょる」
「珍しいよね。おばあがおらんなんてさ」
そう言った葵ちゃんがルリに気付いたらしい。
「ネコさ! ……あいっ、このネコ、エサ食べてるよ。おばあがおらんなら、誰があげたのかね」
ドキッとして、あたしはなぜかさらに身を小さくしてしまった。
「あ、やさ。陽妃……きっと陽妃さ」
美波や陽妃の家におるかもしれんやさ、そう言って、じゃあねと駆け出そうとした海斗の腕を、
「待って!」
葵ちゃんが両手で掴んで引き止めた。
雨の中、見つめ合うふたり。
「行かんで!」
「なに言っとるば。美波が待ってるからさ」
離して、と海斗が手をほどこうとするけれど、
「ダメさ! 絶対ダメさ!」
葵ちゃんは頑なになって引き止める。



