妙に心細くて、早く海斗に会いたい、そう思った。
会って何を話すわけじゃないけど、あの不思議な心地よさに触れたい、と。
集落のバス停で待ってくれている海斗が、今は唯一の心の支えだった。
鉛色の雲に西日が遮られてしまったせいだ。
与那星島のターミナルにフェリーが着いた時、あたりはもう薄暗くなっていた。
「えっ? あれっ?」
バスを降りて、あたりをキョロキョロ見渡して、あたしは立ちすくんだ。
いつもそこに立って、笑顔で待ってくれている海斗の姿はなかった。
殺風景な辺りに湿った風がビュウッと吹いているだけだ。
――けーたんなー(おかえり)、陽妃
そう言って、笑って、待っていてくれると思っていた人がいない。
波に逆らって何度も大きく揺れるフェリーの中で、心の支えにしていただけに、喪失感は大きかった。
今度こそ、本格的に心細い。
海斗にだって予定はあるんだから、仕方ない。
生徒会に入っているし、受験生なんだし。
いつも待ってくれているとは限らないんだから。
と、自分に言い聞かせる。
でも、ただ。
今日は特別、海斗と話したかったのにな。
あたしは風で乱れた髪の毛をささっとてぐしで整え、その場をあとにした。
帰ると、あたしの家の前で膝を抱きしめてしゃがみ込んでいたのは、美波ちゃんだった。
「美波ちゃん」
あたしの声に弾かれたように顔を上げ、
「あー! ねぇねぇ!」
けーたんなー、と立ち上がりぺたぺたとサンダルを鳴らして美波ちゃんが駆け寄って来た。
「つぅーかまえたっ!」
あたしの腕に飛び付いて人懐こく笑った美波ちゃんは、ハイビスカス柄のワンピースの裾をひらひらさせて、ぴょんぴょん飛び跳ねる。
「美波ちゃん、ひとり?」
「うん」
「海斗は?」
と聞いたとたん、美波ちゃんが笑顔を曇らせる。
会って何を話すわけじゃないけど、あの不思議な心地よさに触れたい、と。
集落のバス停で待ってくれている海斗が、今は唯一の心の支えだった。
鉛色の雲に西日が遮られてしまったせいだ。
与那星島のターミナルにフェリーが着いた時、あたりはもう薄暗くなっていた。
「えっ? あれっ?」
バスを降りて、あたりをキョロキョロ見渡して、あたしは立ちすくんだ。
いつもそこに立って、笑顔で待ってくれている海斗の姿はなかった。
殺風景な辺りに湿った風がビュウッと吹いているだけだ。
――けーたんなー(おかえり)、陽妃
そう言って、笑って、待っていてくれると思っていた人がいない。
波に逆らって何度も大きく揺れるフェリーの中で、心の支えにしていただけに、喪失感は大きかった。
今度こそ、本格的に心細い。
海斗にだって予定はあるんだから、仕方ない。
生徒会に入っているし、受験生なんだし。
いつも待ってくれているとは限らないんだから。
と、自分に言い聞かせる。
でも、ただ。
今日は特別、海斗と話したかったのにな。
あたしは風で乱れた髪の毛をささっとてぐしで整え、その場をあとにした。
帰ると、あたしの家の前で膝を抱きしめてしゃがみ込んでいたのは、美波ちゃんだった。
「美波ちゃん」
あたしの声に弾かれたように顔を上げ、
「あー! ねぇねぇ!」
けーたんなー、と立ち上がりぺたぺたとサンダルを鳴らして美波ちゃんが駆け寄って来た。
「つぅーかまえたっ!」
あたしの腕に飛び付いて人懐こく笑った美波ちゃんは、ハイビスカス柄のワンピースの裾をひらひらさせて、ぴょんぴょん飛び跳ねる。
「美波ちゃん、ひとり?」
「うん」
「海斗は?」
と聞いたとたん、美波ちゃんが笑顔を曇らせる。



