恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

中庭に咲き誇る桃色のプルメリアが、風に揺れていた。


あたしはふたりから目を反らし、うつむいた。


ああ、そうだったんだ。


里菜は、悠真のことが……好きなんだ。














さっきまであんなに晴れていたのに。


学校を出て、石垣島離島ターミナルに到着した時、上空は鉛色の分厚い雲に覆われていた。


風も湿っぽく、強く吹き始めた。


天気予報は一日を通して晴天のはずだったのに。


いつもより少しだけ複雑に揺れる鈍色の海へ、夕方のフェリーが出港した。


いつも、放課後は友達と遊んで帰る悠真がこの時間のフェリーに乗っているのは、珍しいことだった。


それは確実に悠真がショックを受けたことを表していた。


あたしも同じだ。


いつも仲良しのふたりの姿しか見たことがなかっただけに、あたしが受けた衝撃は大きかった。


「なんだか曇ってきたね。失敗したなあ」


「与那星島は夕日が綺麗だって、お父さんが言ってきかないから」


「まさかこんなに曇るとは思っていなかったんだよ」


「もー。こんなことになるなら、石垣島でショッピングしてた方が良かったじゃーん」


数組の家族連れやカップルで賑わう船室の片隅で、悠真は椅子にもたれて、窓の向こうに連なってしぶきを上げる白い波頭を見つめていた。


ただ、ぼんやりと。


まるで、魂を抜き取られたように窓の外を見つめている悠真に、声を掛けることなんてできなかった。


あたしがふたりと衝突したわけじゃない。


でも、ショックは大きくて、心細くなった。


感情的になって泣き崩れた、里菜。


まるで抜け殻のようになってしまった、悠真。


これから、ふたりはどうなっていくんだろう。


このまま口もきかなくなってバラバラになってしまうんじゃないかと、不安になる。


悠真の後姿を見つめながら、あたしは心細くてちゅら玉を握り締めた。