恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

なんてきれいな男の子なんだろう。


島の子とは思えないほど色白だった。


透き通った白い肌。


真っ黒な髪の毛が、サラサラ音を立てて潮風に揺れている。


シャープな輪郭。


切れ長の目に、長い睫毛。


真っ黒でミステリアスな瞳が、日差しを受けてつやつや輝いて見える。


スッと通った高い鼻。


まるで、おとぎ話の中からそのままそっくり飛び出してきたような、端正な顔立ちの男の子に、あたしは不覚にも目を奪われ釘付けになった。


「これ」


男の子はきれいに微笑みながら、固まるあたしに麦藁帽子を差し出した。


「えっ……あっ、ありがとう」


麦藁帽子を受け取ると、男の子は白い歯をこぼれさせて笑った。


なんて、きれいな顔立ちなんだろう。


目が離せない。


そこらにゴロゴロ転がっている女の子よりも遥かに綺麗だった。


あたし、何ドキドキしてるんだろう。


男の子はケホッとひとつ咳払いをして、言った。


「須藤、陽妃さんよね」


「……何であたしの名前」


あたしとそんなに変わらない背丈なのに。


男の子はまだあどけなさが残る顔で、クスリと笑った。


「おれは比嘉海斗(ひが かいと)」


そして、女の子の頭を撫でて、続けた。


「こいつは、美波(みなみ)。おれの妹さあ」


ひが、かいと。


比嘉……?


「ああっ」


あたしは麦藁帽子のつばをぎゅうっと握り潰した。


「もしかして、比嘉さんの?」