嘘、でしょ。


なんでそうなるの。


嫌。


大我と別れるなんて、嫌。


別れたくない。


「でもっ」


あたしは毛布を引きずりながらベッドを下りて、背後から大我を抱きしめた。


「あたし、高校卒業したらすぐこっちに戻って来るから。ねっ」


「……うざ」


「あの……大我?」


信じられなくて。


信じたくなくて、あたしはすがる思いで大我の右腕にしがみ付いた。


「離してくれね?」


大我はあからさまに迷惑顔でむっとして、あたしを乱暴に振りほどいた。


「陽妃のそういうとこ、うざいよ」


痛かった。


振り払われた手が切り落とされたように痛かった。


なんで……。


「とりあえず服着て。話はそれから」


大我は、今にも泣きだしそうなあたしを見ていられなかったのかもしれない。


ううん。


見たくもなかったんだと思う。


「おれも、陽妃に話したい事あるから」


大我はあたしに「着て」と衣類を差し出して、困ったようにキャラメル色の髪の毛を掻いた。











服を着て向かい合って座ったあたしに、大我の方から話を切り出してきた。


「正直、そろそろ潮時かなって思ってたんだよね」


「へ?」


心臓がドキドキじゃなくてギシギシ不快な音を立てて、ズキズキ痛む。


「潮時……って?」


聞きながら、あたしは手に嫌な汗を握った。


「だから、別れようかなって。思ってたんだよね」


「え……」


あたしは声を詰まらせた。


同時に、大我の事がよく分からなくなった。