恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

「あたしのせいにされたら困るし。たまったもんじゃないし」


海斗に何が言いたくて、あたし、こんなにイライラしてるんだろう。


海斗にどうしてもらいたくて、こんなこと言ってるんだろう。


「あたしもさ、中学生と遊んでる場合じゃないし」


本当はこんな事を言いたいわけじゃないんだけど。


「あの子に誤解されても困るし、後が面倒くさそうだし」


本当はこんな事、言いたくもないのに。


「陽妃」


海斗の顔からもその声からも、完全に笑顔もやわらかさも消えていた。


「何が言いたいんか」


なんだか怖くなって、海斗から目を反らした。


海斗が酷く傷ついた目をしていたから、怖くて、そうするしかなかった。


だけど、それでも、あたしの口は止まらなかった。


「何って。ほら、夏休み明けには新しい高校での毎日が始まるわけでしょ、あたし。暇じゃないんだよね」


ただ突っ立っているだけなのに、右足首が軋むように疼いた。


痛い。


「あたし、転校生なわけだし、馴れるまで時間かかると思うんだよね。ほら、友達できるかなーとかさ。一応、不安はあるっていうか」


ああ、痛い。


海斗の視線が、肌にチクチク突き刺さってくる。


「だから、毎日、浜でお気楽に遊んでる場合じゃないっていうか」


「お気楽? ……そんなふうに思ってたんかね、陽妃は」


「ああ、そうだ。これからはあの子誘えば?」


「陽妃」


「やっぱり同じ歳の子たちの方が話合うと思うし、海斗もその方がいいでしょ? 今日も一緒に石垣島に遊びに行って来たんじゃないの? 楽しかったでしょ」


「はる――」


「とにかく、そういう事だから」


どいて。


右足をかばいながら、立ちはだかる海斗の横をすり抜け向けた背中に、


「なに勘違いしよるか!」


大きな声がぶつかってきて、思わず立ち止まった。