恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

「今日の陽妃、おかしいよ。何でそんな言い方しよるか」


「ああ、ごめんごめん。嫌味に聞こえた?」


あたしはカラカラに渇ききった笑い方をした後、とどめをさすようにフフと鼻先で笑い飛ばした。


「てか、もういいから」


「何がか」


「夕方の散歩。もういい。勘違いされても困るし」


沈黙があった後、海斗が首を傾げた。


「なにさ……それ、どういうイミクジ(意味)か。勘違いって何か」


「あの子。あの子に……勘違いされたら困るし」


「あの子って誰のことさ……葵、か?」


互いに冷静になったわけではないけど、妙にギクシャクした会話にさらに苛立ちが膨らんだ。


だから、わざと肯定も否定もしなかった。


「迷惑なんだよね」


イライラしてたまらなくて、つっけんどんに言った。


「めんどくさ」


始めは美波ちゃんをひとりにしてどこかへ行ったことに苛立っていたつもりだったし、はずだった。


けれど、それは次第に思わぬ方向へ向かい出した。


どうすればいいのか分からない方向へ向かい出し、そして、気付いたらもう訂正する事も引き返す事もできないところまで達していた。


「中学生の恋愛に振り回されるのとか、本当に勘弁して欲しい」


苛立ちの矛先は、美波ちゃんをひとりにしてどこかへ行った海斗から、あの子と一緒に居たついさっきの海斗に向かい出した。


「うんざり、もう。他人の恋愛沙汰に関わりたくないんだよね」


あたし、なに言ってんだろう。


「もめごと起こしたくないし、巻き込まれるのごめんだし」


「何か、それ」


怪訝な表情で海斗があたしをじっと見つめてくる。


「ほら。暢気な高校生に連れ回されて、それが原因で受験に失敗したとか言われても困るっていうか」


何でこんなこと言ってんだろう。