「あ……ごめ……大丈夫だから」
触れられたくないと思った。
「ほっといて」
さっき、あの子の手を掴んだその手で触れられたくないと思った。
あの子に触れた、その手を。
嫌だと思ってしまった。
そう思ってしまった自分を、何より嫌だと思った。
「……陽妃」
海斗は目を丸くして、言葉を失ったように唖然として固まった。
どうしてここまで感情的になってしまっているのか、分からない。
でも、うなじの辺りがカッと熱くなって、どう足掻いても感情を抑えられそうにない。
同時に感情をコントロールできなくなった自分に戸惑った。
大我にさえここまで感情をむき出しにして突っかかっていった事はないのに。
「ねぇねぇ、違うの!」
美波ちゃんの声でハッと我に返った。
「え?」
「あのさ、にぃにぃはさ――」
と何かを言おうとした美波ちゃんに、
「美波は黙っとれ」
と海斗が言い、そこに座り込んだまま、じっとあたしを見ながら続けた。
「ごめん、陽妃。おれさ、今日さ、朝一番のフェリーで石垣島に行って来た」
ズキ。
足首が痛む。
「石垣島?」
「いー。実はさ――」
と言いかけた海斗の声をつっけんどんに弾き飛ばして、
「いいね、受験生だってのに! お気楽で」
あからさまに目を反らし、あたしは立ち上がった。
「この島の受験生は余裕だね。東京の子たちなんて、すごいよ。夏からみんな血眼んなってさ。夏期講習とか行って、家庭教師とかつけちゃって」
石垣島、楽しかった? 、と皮肉たっぷりに言うと海斗が立ち上がり、
「何さ、その言い方」
通せんぼするようにあたしの前に立ちはだかった。
触れられたくないと思った。
「ほっといて」
さっき、あの子の手を掴んだその手で触れられたくないと思った。
あの子に触れた、その手を。
嫌だと思ってしまった。
そう思ってしまった自分を、何より嫌だと思った。
「……陽妃」
海斗は目を丸くして、言葉を失ったように唖然として固まった。
どうしてここまで感情的になってしまっているのか、分からない。
でも、うなじの辺りがカッと熱くなって、どう足掻いても感情を抑えられそうにない。
同時に感情をコントロールできなくなった自分に戸惑った。
大我にさえここまで感情をむき出しにして突っかかっていった事はないのに。
「ねぇねぇ、違うの!」
美波ちゃんの声でハッと我に返った。
「え?」
「あのさ、にぃにぃはさ――」
と何かを言おうとした美波ちゃんに、
「美波は黙っとれ」
と海斗が言い、そこに座り込んだまま、じっとあたしを見ながら続けた。
「ごめん、陽妃。おれさ、今日さ、朝一番のフェリーで石垣島に行って来た」
ズキ。
足首が痛む。
「石垣島?」
「いー。実はさ――」
と言いかけた海斗の声をつっけんどんに弾き飛ばして、
「いいね、受験生だってのに! お気楽で」
あからさまに目を反らし、あたしは立ち上がった。
「この島の受験生は余裕だね。東京の子たちなんて、すごいよ。夏からみんな血眼んなってさ。夏期講習とか行って、家庭教師とかつけちゃって」
石垣島、楽しかった? 、と皮肉たっぷりに言うと海斗が立ち上がり、
「何さ、その言い方」
通せんぼするようにあたしの前に立ちはだかった。



