「海斗さ、優しいのはいい事さ。でも、誰にでも優しくしよってばかりおったら、勘違いされよるからさ」
しん、と静まり返った夜道を、じっとりとした温い風が吹き抜けていった。
その風が去って行くのを待っていたかのように、海斗が言った。
「……よう分からん。何が言いたいんか」
ぷはっ、と吹き出して笑った海斗に、
「分からんならいいさ!」
やっぱりいらん! 、とぶっきらぼうに言い、明りが付いたままの懐中電灯を押し付け返して、
「ほんならね!」
葵ちゃんはまるで逃げ出すように、夜の中に駆け出して行った。
足音は次第に遠ざかり、消えてしまった。
彼女の姿が見えなくなったのを確認して、海斗が踵を返す。
「にぃに……にぃにぃ!」
美波ちゃんの声で立ち止まった海斗が持っていた懐中電灯でこっちを照らした。
眩しくて、とっさに目を細める。
「あいっ! 美波! 陽妃も!」
懐中電灯で足元を照らしながら、海斗がこっちに向かって来る。
「どこに行って来たのさ。浜に行って来よったんか」
「にぃーにぃー」
美波ちゃんが駆け出して正面衝突するかのように飛び付いて行くと、小さな体を受け止めた海斗の様子が一変した。
「何か! 何かこれ!」
海斗の大きな声が響いた直後ゴトッと音がして、それは砂地に懐中電灯が転がり落ちた音だった。
温かみのある光が、夜の白砂地に扇状に広がっている。
「何で傷だらけなのさ! 何で怪我しとる! 美波」
「あのさ、にぃにぃ、あのさ」
「転んだのか? にぃにぃに見せてみろ」
海斗は焦った様子で懐中電灯を拾い、その明りで美波ちゃんの体を照らした。
「服も切れとるば! 何でか!」
説明する事ならできたはずだった。
しん、と静まり返った夜道を、じっとりとした温い風が吹き抜けていった。
その風が去って行くのを待っていたかのように、海斗が言った。
「……よう分からん。何が言いたいんか」
ぷはっ、と吹き出して笑った海斗に、
「分からんならいいさ!」
やっぱりいらん! 、とぶっきらぼうに言い、明りが付いたままの懐中電灯を押し付け返して、
「ほんならね!」
葵ちゃんはまるで逃げ出すように、夜の中に駆け出して行った。
足音は次第に遠ざかり、消えてしまった。
彼女の姿が見えなくなったのを確認して、海斗が踵を返す。
「にぃに……にぃにぃ!」
美波ちゃんの声で立ち止まった海斗が持っていた懐中電灯でこっちを照らした。
眩しくて、とっさに目を細める。
「あいっ! 美波! 陽妃も!」
懐中電灯で足元を照らしながら、海斗がこっちに向かって来る。
「どこに行って来たのさ。浜に行って来よったんか」
「にぃーにぃー」
美波ちゃんが駆け出して正面衝突するかのように飛び付いて行くと、小さな体を受け止めた海斗の様子が一変した。
「何か! 何かこれ!」
海斗の大きな声が響いた直後ゴトッと音がして、それは砂地に懐中電灯が転がり落ちた音だった。
温かみのある光が、夜の白砂地に扇状に広がっている。
「何で傷だらけなのさ! 何で怪我しとる! 美波」
「あのさ、にぃにぃ、あのさ」
「転んだのか? にぃにぃに見せてみろ」
海斗は焦った様子で懐中電灯を拾い、その明りで美波ちゃんの体を照らした。
「服も切れとるば! 何でか!」
説明する事ならできたはずだった。



