恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

「……どうしたの、美波ちゃん」


正直、戸惑った。


「帰らんよね?」


と念を押すように繰り返した美波ちゃんの表情は険しく、


「島におってね。ずうっと島におって」


まるで何かにすがるような必死の形相だった。


「ねぇねぇがさ、島に来よるまではさ、美波、本当は寂しかったからさ」


最初は言葉を選ぶようにぽつりぽつりと話し出し、


「でもさ、ねぇねぇが来よってからはさ、楽しいやっさ。美波、寂しくなくなった」


次第に早口になり、


「ねぇねぇがおってくれたらさ、にぃにぃとられんで済むからさ。あっ、やっさー! にぃにぃとられんで済む!」


その声は一気に大きくなって、


「あのさあのさ、ええとさ、にぃにぃを……えっと、にぃにぃが」


ついにまとまりが無くなってしまった。


見ているこっちが過呼吸になってしまいそうだ。


「み、美波ちゃ――」


「ああああのさっ!」


小さな肩を大きく上下させて、美波ちゃんは興奮気味に言った。


「ねぇねぇは美波のこと仲間外れにしないからさ! 美波とも遊んでくれよるし一緒におってくれるぅ! けど……あおいちゃんは違うさ。美波が邪魔なのさ」


突然、美波ちゃんの口からぽんと飛び出した名前に、一瞬動揺してしまった。


「あ、おいちゃんて……海斗の同級生の?」


動揺を隠しながら確かめると、美波ちゃんがコクと頷いた。


「あおいちゃんはさ、にぃにぃを独りじめしよる。ねぇねぇが来よる前はさ、いつも美波からにぃにぃを横取りしよったからさ……」


「横取りって……」


「あおいちゃんは、いつも美波のこと睨んで来よる。こわい。にぃにぃを横取りしよるんさ」


だからさ。


美波さ。


寂しかった。