あの木に登った時かもしれないし、体勢を崩したあの瞬間だったのかもしれない。
美波ちゃんを背負って梯子を下りていた時だったのかも、地面に足をつけた時だったのかも分からない。
夢中だったからいつだったのかさえ思いつかないけど、どうも捻ってしまったらしい。
雨宿りをしていた時は全く何ともなかった。
違和感を感じ始めたのは集落の近くまで来た時だった。
そして、今になってじんじん火照るようにその違和感は痛みに変わり出した。
右足を地面につけるだけでズキと衝撃が走る。
「あがー……」
額も頬も腕も膝も。
全身あちこちについた擦り傷や切り傷をしきりに気にしながら、美波ちゃんが痛そうに表情を歪める。
「大丈夫? 帰ったらすぐ手当しなきゃね」
言ったあたしの右足にきょろりと視線を落として、
「なに言っとるば」
と美波ちゃんは複雑な表情を浮かべた。
小さな手がきゅうっとあたしの手を握り返してくる。
「ねぇねぇの方が心配さ」
「あたし?」
こく、と美波ちゃんは頷いた。
「足。痛いんでしょ?」
「あ……平気、平気。大丈夫。このくらい」
ひょこりひょこりと右足をかばいながら歩くあたしの手をすっと離して、
「美波のせいさ。ごめんなさい」
美波ちゃんがピタと立ち止まった。
そして、枝に引っ掛けて破けてしまったTシャツの裾をぎゅうっと握りしめて、小さな肩をすくめた。
「ねぇねぇ……ごめんなさい」
Tシャツを握る小さな両手が小刻みに震えている。
「美波のせいさ」
今にもわあっと泣き出したいのを必死に我慢するように、きゅっと唇を噛んで震えるその手にそっと触れて、
「美波ちゃんのせいじゃない。美波ちゃんは何も悪くない。本当に大丈夫だから」
明るい口調で言うと、美波ちゃんがおそるおそる顔を上げた。
美波ちゃんを背負って梯子を下りていた時だったのかも、地面に足をつけた時だったのかも分からない。
夢中だったからいつだったのかさえ思いつかないけど、どうも捻ってしまったらしい。
雨宿りをしていた時は全く何ともなかった。
違和感を感じ始めたのは集落の近くまで来た時だった。
そして、今になってじんじん火照るようにその違和感は痛みに変わり出した。
右足を地面につけるだけでズキと衝撃が走る。
「あがー……」
額も頬も腕も膝も。
全身あちこちについた擦り傷や切り傷をしきりに気にしながら、美波ちゃんが痛そうに表情を歪める。
「大丈夫? 帰ったらすぐ手当しなきゃね」
言ったあたしの右足にきょろりと視線を落として、
「なに言っとるば」
と美波ちゃんは複雑な表情を浮かべた。
小さな手がきゅうっとあたしの手を握り返してくる。
「ねぇねぇの方が心配さ」
「あたし?」
こく、と美波ちゃんは頷いた。
「足。痛いんでしょ?」
「あ……平気、平気。大丈夫。このくらい」
ひょこりひょこりと右足をかばいながら歩くあたしの手をすっと離して、
「美波のせいさ。ごめんなさい」
美波ちゃんがピタと立ち止まった。
そして、枝に引っ掛けて破けてしまったTシャツの裾をぎゅうっと握りしめて、小さな肩をすくめた。
「ねぇねぇ……ごめんなさい」
Tシャツを握る小さな両手が小刻みに震えている。
「美波のせいさ」
今にもわあっと泣き出したいのを必死に我慢するように、きゅっと唇を噛んで震えるその手にそっと触れて、
「美波ちゃんのせいじゃない。美波ちゃんは何も悪くない。本当に大丈夫だから」
明るい口調で言うと、美波ちゃんがおそるおそる顔を上げた。



