恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

「ちょっと! あんたたちねえ!」


ふたりは同時に体をビクつかせて、同時にあたしを見つめた。


「男の子でしょ! 中学生でしょ! 美波ちゃんのこと、助けてくれれば良かったじゃない! できるでしょ、木登りくらい!」


いやあ、とふたりは同時に肩をすくめた。


梯子があるなら別さあ、と。


「あのデイゴの木は無理さ。こん島でいちばん大きい。大人だって苦労するもん」


「そうさ。登ることはできるけど、あの高さから美波をおぶって降りるのは無理さあ」


情けない。


あたしは無意識のうちに、チッと舌打ちをしていた。


「……美波が登ったのは、あんなこと言われたからに決まってるさ」


と背中を丸めた右の男の子を見つめていると、


「そうさ。あれは口が避けても、絶対に言っちゃいけない事なのにさ。透が言ってしまったからだよね」


と左の男の子はもっと丸く、ダンゴ虫のように背中を丸くした。


「だから、美波は意地だけで登ってしまったのさ」


ね、とふたりは目を合わせてこくりと頷き合ったあと、同時にあたしを見上げた。


「その、透くん。美波ちゃんに何を言ったの?」


それは言えないよ、とでも言いたげに、ふたりは同時に口を一文字に結んでうつむいた。


蝉時雨が、無情に響いていた。


「教えなさい! 美波ちゃんは、何を言われたの?」


あたしの怒鳴り声に体をビクつかせ、ふたりは同時に口を開いた。


「「……海斗は」」













一体、どうなっているんだろう。


この、与那星島。


この、島の人たちも。


海斗も。


秘密が多すぎて、着いて行きたくても、行けないのよ。