恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

誰にも届かないって諦めていたけど。


気付いてもらえたから。


周りからすれば、何だ、そんなちっぽけなことか、って笑われるのがオチかもしれない。


でも、あたしには大きな大きな革命だった。













陽射しが降り注ぐ、夏の昼下がり。


「本当に大丈夫? 何かあったらすぐに電話して」


民宿のこととあたしの心配を両手に抱え、あたふたしたままお母さんは車に乗り込んだ。


「もう、しつこーい。早く行って」


ニッ、と笑うと、


「今日の陽妃はたくましく見える」


お母さんは照れくさそうに笑って、ドアを閉めた。


陽射しを吸い込んで、白い砂地の一本道がまばゆい輝きを放っていた。


白い煙を巻き上げて、青色の軽自動車はゆっくり加速して行った。


お母さんの車を見送り、あたしはリビングに戻った。


「いやあ、今日も暑いさあ……」


冷蔵庫を開けながら、海斗の真似をしてみた。


「さあー」


なんだかくすぐったくて、つい、吹き出してしまった。


グラスに麦茶を注いでソファーに座ると、テーブルの下に落ちていたそれを見つけた。


「何だろ」


テーブルの下に潜り込むと、それはクリーム色のプリントだった。


さっき、お母さんやたらとバタバタして準備してたからなあ。


落ちたのに気づかずに、飛び出して行っちゃったんだ。


プリントを取り、ペリとひっくり返しすと、ゴシック体の文字がびっしり綴られていた。


「……なになに」


読もうとして椅子に座った時だった。