恋蛍~クリアブルーの風に吹かれて~

「めずらしいな……」


海斗のお父さんとお母さんが居ないのは、いつものことだけど。


海斗も美波ちゃんも留守だなんて。


玄関も全開にしたままで不用心。


ふたりでどこかに出かけたのかな。


肩を落としながら海斗の家に背を向けて家に戻ると、お母さんがジュースを用意してくれていた。


「どうしたの? 浮かない顔。居なかったの? 海斗くん」


「うん。留守みたい。美波ちゃんも居なかった」


肩を落としたまま、あたしはソファーに座りもたれかかった。


「変ねえ。朝、比嘉さんの家にお邪魔した時は、ふたりとも居たんだけど」


変ねえ、とお母さんは首を傾げながらキッチンへ戻って行った。


お母さんが用意してくれていたキンキンに冷えたジュースをひと口飲んで、ふうと息をついた。


玄関も全開だったし、すぐに帰ってくるかもしれないしなあ。


「また午後からでも行ってみる。その頃には帰って来てるかもしれないし」


「そうね。そうしてみるといいわ」


「うん」


でも、あたしは知らなかった。


このあと、意外な形でふたりと顔を合わせることになることも。


そして、自分自身の気持ちの変化に直面してしまうことも。


ジュースを飲み終えて部屋に戻り、ベッドに寝ころんだ。


ぼーっと天井を見つめていると、ふと、思い出した。


そういえば、昨日、海斗がへんなことを言っていたような……。


「……ネコ」


猫がどうとか……。


もう眠りの深みに入っていたからなのか、どんなに粘っても、ハッキリ思い出すことができない。


あの時、海斗、何て言っていたんだっけ。


温度と湿度がぐんぐん上昇していく部屋。


ベッドをゴロゴロ転がりながら悶々と考え込んでいると、


「陽妃、ちょっといい?」


とお母さんが入ってきた。