けれど、なんて綺麗な島なんだろう。


雨上がりの夜の与那星島は、いっそう不思議めいて見えた。


夜空に散らばる、満天の星。


「わあ……すごい」


高層ビルや雑居ビル、マンションだらけの東京の窮屈な夜空じゃ、見れなかった。


東京は星明かりよりも、街のネオンの方がまぶしくて。


だから、星がこんなにもせめぎ合って光を放つものだなんて、知らなかった。


思わず、うっとりしてしまう。


濃厚な藍色の空から、今にもバラバラ落ちてきそうな、満天の星。


あたしは、大きな深呼吸をした。












今日はあまりにも色々な出来事が重なった。


疲れきった鉛のような体をベッドに沈める。


開け放った窓から入ってくる夜風。


カエルの鳴き声は大合唱。


ニャアーオ。


たぶん、野良猫の鳴き声。


東京からそのままそっくり、両手いっぱいに抱えて来た、失恋と裏切り。


不思議。


海斗という男の子も、無愛想なおばあも。


不思議。


何よりも、この、与那星島が。


洞窟のようにぽっかりと空いていた心が、少しだけ満たされていた。


まぶたを閉じると、すぐに眠気が襲って来た。


まぶたの裏に今も焼け付いている、満天の星空。


今すぐになんて200パーセント無理だし、絶対に嫌だけど。