しかし、海里の表情はあまり浮かないようで。 「そんなに悩むこともないと思うけど……」 僕は小さく呟いた。 でもまぁ、悩みは人それぞれだから。 しかも0.1秒が命取りになる時もあるし。 「こりゃー俺達の陸部、惨敗確定だな!」 「卓志、笑顔で言うセリフじゃないだろ」 「だって俺が走るワケじゃないし~?」 だけどお前の友達は走るんだろうに。 そう言おうとした時。 「…………あ……」 見慣れた姿が校舎にあった。